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取材依頼が絶えないスーパー、名物社長の潔い決断 年間300本以上のテレビ取材をこなす青果のプロ

東洋経済オンライン / 2024年5月20日 7時0分

青果の流通は市場など仕入れ先との信頼関係が重要で、実は新規参入が難しい。仕入れ力があり、知名度もあるアキダイと一緒に組んでやりたいという熱心なオファーをいろいろいただきました。

生鮮スーパー参入や関東進出を狙う他地域のスーパーチェーンなど、金銭的に条件のよい大企業からの話もありました。ただ、タイミングや条件が合わなかったり、先方の決定がなかなか出なかったりして、決断には至らなかった。

15分で話がまとまった

──譲渡先にOICグループを選んだ決め手は何だったのでしょう。

十数年前に阿佐ヶ谷店を開店しました。そこはもともとロピアが大規模スーパー展開を進める際に手放した小規模店舗でした。

その際にOICグループの現会長や現社長と知り合い、その後もロピア初のテナントとして松戸店に入るなど、深いお付き合いが続いていました。M&Aを真剣に考えるときが来たら声をかけてほしい、とも言われていたんです。

ただ、ロピアは大規模店を展開する方針で、傘下に入ればアキダイの既存店舗はなくなってしまうのではと考えていました。アキダイを残し従業員を守るためのM&Aにしたいので、それは無理だと。

ところが2022年にOICグループの髙木勇輔社長と話をした際、「アキダイはアキダイのままでいいのでうちに来ませんか」と言われました。既存店舗はそのままで従業員を異動させないといったこちらの条件を全部受け入れてもらい、15分で話がまとまりました。

もともと髙木社長の、みんなが喜ぶ、やりがいのある会社をつくりたい、という考え方には共感していました。会社を大きくすることが目標ではなく、あくまでもみんなをよくするために会社を大きくする。その重要な部分が一致していたからこそ、迷いなく決断できたんだと思います。

株式はすべて譲渡したが…

──OICグループの傘下に入ってどんな変化がありましたか。

アキダイの既存6店舗はそのままです。スーパーバリュー、ロピア、アキダイのコラボ店2店舗が加わり、アキダイとしては8店舗になりました。アキダイの株は全部譲渡しましたが、私が代表取締役社長で経営権も持っています。

またグループの青果アドバイザーとして、若い人たちをアキダイで預かりノウハウを教えています。

ロスを出さずに売り切って儲けを出そうと思ったら、仕入れの量や買値、天候といったさまざまなことを考えなくてはいけない。大規模なロピアでは学べない「小さい商い」、商人の心をアキダイで伝えていこうと思っています。

──アキダイのプライベートブランド(PB)も始めましたね。

生産者を応援したい思いもあり、おすすめの青果をPBとして展開しています。これはOICの資金力があるからできたことです。

仕事は今まででいちばん忙しい。譲渡前は経営者としてやや停滞していたのですが、今はアキダイの売上高を100億円にしようとか、教育のやり方をもっと工夫したいとか、新しい欲も出てきた。

アキダイの若い従業員たちも将来の不安がなくなって、プライドを持って仕事を頑張ろう、と目がキラキラしています。事業承継を決めて本当によかった、と1年以上経って改めて思っています。

(構成:勝木 友紀子)

木皮 透庸:東洋経済 記者

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