メガバンク3社で「3兆円」でも市場に漂う失望感 さらなる業績上振れ期待も、PBR1倍は遠く
東洋経済オンライン / 2024年5月20日 7時50分
同社はCET1比率が9.5%から10.5%の間に収まる資本政策を掲げており、「ターゲットレンジの真ん中になる点も含めて(1000億円の自己株買いが)最適だと判断した」(亀澤社長)。だが、財務規律を守る事情があるにせよ、結果的に投資家の失望売りを招いた。
同じく失望売りに見舞われたのがみずほFGだ。三菱UFJFGや三井住友FGと比べて自己資本に乏しい同社は、2008年を最後に自己株買いを行っていない。
そのため三菱UFJFGや三井住友FGと比べて、みずほFGに対する自己株買いへの期待はもともと小さかった。だが、銀行業界で相次ぐ好決算に加え、みずほFGのCET1比率(その他有価証券評価差額金を除く)が2023年末時点で9.7%と、10%の大台が見えていた。
市場では16年ぶりの自己株買いもささやかれたが、「成長投資もしないといけない。(自己株買いを行うには)もう一段資本が欲しい」(木原社長)とやはり見送り。これが一部投資家の売りを誘ったようだ。
唯一前向きな評価を受けたのは、上限1000億円の自己株買いを発表した三井住友FGだ。同社はコロナ禍の2020年3月期を除いて、年間1000億~1500億円の新規取得枠を設けており、今回も順当な還元策と受け止められた。同時に発表した1対3の株式分割も、株価を押し上げる一因になった。
かつてなく高い投資家の期待
次の焦点は、今期の中間決算で株主還元が上乗せされるかどうかだ。「収益状況も見て、中間期に議論したい」(三菱UFJFGの亀澤社長)、「視野に入っていないとは申し上げない」(みずほFGの木原社長)。首脳の発言からは、自己株買いへの関心がうかがえる。
各社が目標とするPBR(株価純資産)1倍は、しばらくは逃げ水を追う状況となりそうだ。一般に、PBRの分母となる1株当たり純資産は、直近の本決算期末の数値を参照する。本決算をまたげば純資産が膨らむため、その分だけ株価が上がらなければPBRは下がってしまう。
3月に1倍を取り戻した三菱UFJは、決算発表を受けた株価下落で再び1倍を割ってしまった。三井住友FGは0.8倍台、みずほFGも0.7倍台でくすぶる。
青天井とも言える投資家の期待。「ポジティブサプライズ」を与えるハードルは、かつてないほどに高い。
一井 純:東洋経済 記者
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