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モノ言う株主・丸木氏「社外取締役は飾りじゃない」 「求められる役割」を経営陣は知っているのか

東洋経済オンライン / 2024年5月21日 17時0分

ただし、よく「大所高所から経営を監視します」とか「すべての関係者から独立した観点で意見を述べます」などと言われる社外取締役の方がいますが、それは違います。

株主総会を通じて株主に選ばれている以上、前述のとおり、少数株主の立場で意見を述べることが大前提。つまり、「独立性」とは、一般株主と利益相反が生じないことなのです。

これを踏まえると、社外取締役としてやるべきことは大きく2つに集約されます。1つは平時において、企業価値の毀損を防ぐこと。

例えば、不動産を購入して本社ビルを建てるという構想が持ち上がったとします。しかしそれが、誰の得になるのか。経営者は気持ちいいかもしれませんが、多くの従業員にとって関心は薄いでしょう。

私もかつてサラリーマンだった当時を振り返ると、オフィスはある程度きれいで通勤の便さえ良ければ、別に自社ビルでも賃貸でもよかった。周囲の同僚たちもそうだったと思います。

それより問題なのは、自社ビルにお金をかけることで、どれだけ企業価値が向上するのかということです。

単なるムダ遣いではないのか、他に有効な遣い道があるのではないか、どうしてもお金が余るなら株主に返すべきではないか。そういうことを、取締役会で社外取締役に指摘してもらいたいわけです。

また「創業○周年記念事業」などと称して立派な冊子を作ったり、何らかのイベントを企画したりといったこともよくあります。

はたして、それらを行うことで企業価値の向上にどれだけ貢献するのか、株価の向上に寄与するのか。経営者の自己満足のための散財にならないよう、厳しくチェックしてもらう必要があります。

M&Aにおいても細かく確認するのが役割

あるいはM&Aを画策している場合は、いくらぐらいまで出すつもりなのか、それによって買収先企業の価値をどうやって高めていくのか、そもそも買っていいのか。

常勤取締役はM&Aの実行そのものが目的となってしまっていることがあるので、細かく確認するのも社外取締役の仕事でしょう。

昨今であれば、買収費用として例えばEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益。企業の稼ぐ力を表す指標で、一般的には営業利益+減価償却費)の何倍まで出せるかを、あらかじめ決めておくのもよくある考え方です。大企業なら、もちろん専門チームがこれらの数字を精査した上で、最終的にトップが決断することになると思います。

ところが中小企業の場合、そこまでの体制を整えられないので、プロセスが曖昧になることがあります。我々の投資先企業でも、かつてM&Aで傘下に入れた企業の価値が3年ほどで大幅に下がり、減損処理したケースがありました。

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