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金曜は「休日」扱い、ロンドン鉄道運賃割引の狙い 週末「オフピーク運賃」を拡大、生活に変化は?

東洋経済オンライン / 2024年5月21日 6時30分

金曜日朝8時半過ぎのロンドン地下鉄レスタースクエア駅。平日のほかの曜日ならラッシュ時のはずだが人影はまばらだ(筆者撮影)

コロナ禍中に奨励されたテレワーク。イギリスでは、自宅などからのリモート対応で仕事をする習慣がそのまま維持されたことで、毎朝定時に出勤する人の数が大きく減っている。そんな中、ロンドン交通局(TfL)は今年2024年の3月から、金曜日の運賃設定を土日などと同じく休日扱いとするトライアル運用を始めた。

【写真を見る】通勤時間帯とは思えない金曜朝のロンドンの地下鉄車内。 地下深いホームと改札階を結ぶエスカレーターも人影はまばらだ

地下鉄やバスを運営する公共機関が「金曜日は週末」と認定したことは、人々の暮らしにも変化をもたらすのではないか。その現状を追ってみることにした。

コロナ後に激減した「金曜出勤」

イギリスの就業時間は日本の一般的な例と同様、午前9時開始、午後5時半もしくは6時に終了というパターンになっている。ところが、WFH(Work from home=日本でいうテレワーク)の普及が進む中、毎朝出勤する人が大きく減少。とくに金曜日の出勤者減少は顕著だという。

実際に4月中旬の金曜朝、ロンドンの都心にある地下鉄駅に行ってみた。本来なら通勤時間に間に合うようオフィスに駆け込む人々が多そうな午前9時前でも、ホームにはほとんど人がいない。そのまま地上に上がっても、街を行き交う人々の姿はまばらで、まるで日曜の早朝のような雰囲気だ。

こうした極端な状況は数字の上でも明らかだ。

ロンドンの公共交通の利用状況統計を見ると、このところ金曜日の乗車率はことのほか低い。例えば、4月5日(金)のロンドン市内を走る公共バスの利用率は、コロナ禍前の2019年の同日と比べ約24%減少、地下鉄は27%も減っている。ただ、筆者の実感では半分以下まで減っているのではないかという印象を受ける。学校が少ない都心は通勤利用者が大半を占めるため、減り具合がより顕著なのだろう。

WFHの普及により、金融街のシティーを中心に行われていた仕事後の飲み会も、木曜日が“新たな金曜日”となったことでその様子は様変わりしている。コロナ禍前は金曜日の午後から夕方にかけてパブが混み合っていたが、こうした習慣さえも変わってしまった。

「オフピーク」どれだけ安くなる?

ここで、改めてロンドンの公共交通料金設定の仕組みについて説明しておきたい。

ロンドンでは、通勤・通学者が多い時間帯を「ピーク」と設定。平日の朝6時半~9時半、午後4時~7時の時間帯に改札内に入場するとピーク運賃が取られる。一方、土・日・祝日の全日および平日のその他の時間帯は「オフピーク」に設定しており、鉄道(地下鉄や旧国鉄のナショナルレールなど)の片道運賃がピーク運賃よりおおむね3〜4割安くなる。

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