「Google検索使いこなす子供」に潜む"大きな問題" 検索で出た答えは正しい?若者に必要な視点
東洋経済オンライン / 2024年5月22日 17時0分
例えば「なぜSNSは流行したのか考えてこよう」という問いを出したとします。
これに対して、生徒がGoogleで調べると、「SNSの利用目的は、知人の近況を知るためと回答する人が多い」ということが書いてあります。生徒はこれをコピーアンドペーストして、「Q:なぜSNSは流行したのか? A:知人の近況を知りたいから」と答えてしまうのです。
言うまでもなく、この答えは不完全です。知人の近況を知りたいだけなのであれば、ほかの手段があるかもしれませんし、それ以外の理由だって考えられるはずです。
ここで書かれているのは「利用目的」であって、「なぜ流行したか」ではないですよね。聞かれていることと、少し違いますね。それなのに、「ネットで調べて、そう書いてあるから」という理由だけで、これを答えにしてしまう学生があまりにも多いのです。
なぜ、こういった「簡単な答え」に満足してしまう生徒が多いのでしょうか。
その理由の1つには、生徒たちの頭の中に「タイパ」という考えがあるからなのではないか、と考えています。
『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』(レジー著)という本がありますが、この本で指摘されているとおり、最近の若者はタイムパフォーマンスに対する意識が高く、早送りが当たり前の文化になっています。
タイパを考えて、最短距離で、最高効率で物事を終わらせることがいい、という価値観が広がっているのです。
今の中高生もこうした価値観に影響されており、「受験合格のためには、これらの参考書をこなすのが最短ルート」といった考えをもつ生徒も増えてきています。
「問いに対して、すぐに答えがほしい」「早く答えを出したい」という感覚があり、だからこそ1つの問いに対して粘る、ということがだんだん難しくなってきているのではないか、と。そうした状況は、大きな問題なのではないかと私は思うのです。
これは私の持論ですが、生きていくうえで「答えのない問い」に対して考える時間を持つのは、とても重要になってくると思います。「自分はどう生きるべきなのか」「どんな進路に進んでいくべきなのか」「幸せになるにはどうすればいいのか」。
生きていくうえで重要になってくる問いのほとんどには「答え」は存在しておらず、その「答え」を考えるまでに費やした時間が、自分の価値観として育っていくのではないでしょうか。
しかし、今の生徒たちはその「答えのない問い」に対して、粘って考えるという経験が少ない場合が多いです。この状態だと、人生の中で重要な選択をする際や、困難な状況に陥ったときに、「粘り強く考える」ことができなくなってしまうのではないかと思うのです。
倫理・哲学的な問いを考える時間を
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