能登半島地震、被災地で見た「地域の足」の現状 各社連携し運行、復興のカギは「現地への関心」
東洋経済オンライン / 2024年5月22日 6時30分
2024年元日に発生した能登半島地震。大都市を襲った阪神・淡路大震災や広範囲に被害を出した東日本大震災と比べると、マスメディアにとっては局地的な災害という捉え方なのか、最近はトップニュースで報じられることがほとんどなくなった。
【写真を見る】能登半島地震の被災地の公共交通の現状は?輪島市内では倒壊したビルを避けるように車線が引き直されていた
被災した現地の現状は?
しかしながら筆者にとっては、数年前に石川県の地方銀行である北國銀行でセミナーを担当し、現地でバスや鉄道を運行している北陸鉄道の方々と意見交換をしてきた経験があり、現地の状況が気になっていた。
もちろん発災直後は人命救助優先の局面だったので、現地に足を踏み入れることは控えたが、震災から3カ月が経過した4月を迎えて、訪ねても邪魔にならないかもしれないと思うようになり、2つの会社に連絡を取った。
幸いにして対応してもらえることになり、大型連休直前に現地を訪れるとともに、北國銀行および北陸鉄道に話を聞くことができた。
具体的には金沢市を出発して、七尾市、穴水町、輪島市を訪れた。4月6日に全線での運行を再開したのと鉄道の穴水駅、輪島駅跡地にある道の駅輪島、1月27日から臨時便の運行を再開しているのと里山空港などの交通結節点にも立ち寄った。
まず感じたのは、ニュースでは輪島市や珠洲市の話題が多くを占めるが、実際はそれ以外の地域も、至る所に地震の爪痕が見られたということだ。
石川県内のすべての自治体に支店を持つ北國銀行では、「能登町の松浪支店は損傷が激しく、珠洲市店での仮営業を決定し、穴水支店と志賀町の富来(とぎ)支店は現在、町役場内で営業している」とのことだった。たしかに穴水町を訪れると、倒壊している家屋が各所で見られるなど、想像以上の惨状となっていた。
バスにも深刻な影響
穴水町の南に位置する七尾市も被害を受けている。北陸鉄道グループで輪島市・珠洲市・穴水町・能登町の奥能登地区を担当する北鉄奥能登バスは「七尾にある委託整備会社のリフトが土台の沈下で使えなくなり、車検の際は金沢まで車両を持っていかなければならず苦労している」と、業務に深刻な影響が及んでいることを明かした。
取材でも使った金沢市と輪島市を結ぶ自動車専用道路、のと里山海道および能越自動車道は、徳田大津インターチェンジ―のと里山空港インターチェンジ間については、輪島方面のみ通行可能となっていた。つまり金沢方面は一般道への迂回措置が取られていた。
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