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西鉄貝塚線「都会のレトロ電車」600形の半世紀 開業100年の福岡郊外路線を走る黄色い2両編成

東洋経済オンライン / 2024年5月23日 6時30分

貝塚線には2両編成8本・16両が所属。正面のライトの配置などデザインは登場時から変化しているが、全体に丸みのあるボディは昭和の電車らしい雰囲気だ。メンテナンスによって車両は美しく維持されており、「レトロ」感はあっても古びた感じはない。

台車を交換、運転に違いは?

貝塚線を走る600形は、天神大牟田線で活躍していた時代とはさまざまな違いがある。一目でわかるのは「色」だ。

天神大牟田線の通勤電車は、銀色のステンレス車両を除けばアイスグリーン(水色)にボンレッド(赤)のラインが入った塗装でおなじみだ。600形も貝塚線に移る前はこの色で、転籍の際に現在のオキサイドイエロー(黄色)にボンレッドのカラーリングに塗り替えた。これはかつての大牟田線特急車両「2000形」と同じ色で、宮地岳線・貝塚線の車両で長年親しまれている塗装だ。

最大の変化といえるのは「台車」だ。天神大牟田線と貝塚線は線路がつながっていないだけでなく、歴史的な経緯で線路の幅も異なる。天神大牟田線は新幹線などと同じ1435mm幅の標準軌、貝塚線はJR在来線などと同じ1067mmの狭軌。そのままでは走れないため、狭軌の西武鉄道で使っていた台車「FS342」に取り替えている。

電車の「足」である台車が別物になれば、走りや運転操作にも違いが出そうだ。天神大牟田線と貝塚線の両方で運転経験がある高本さんは、「600形は大牟田線ではブレーキの扱いが難しい電車の1つだったが、こちら(貝塚線)に来てから非常に運転しやすい電車になった」と語る。

高本さんは「貝塚線のほうが低速ということも理由かもしれません」とも話す。貝塚線車両の整備を担う多々良工場主任の小倉光博さんによると、「台車を変えるにあたってモーターは新製している」といい、ブレーキシューも交換しているという。いずれにせよ、貝塚線の600形は運転しやすい電車であることは確かなようだ。

「接点」の多い車両

600形は、装置のブラックボックス化が進んだ近年の電車と比べて「電気接点が多い車両」と小倉さんは言う。接点が多ければ、接触不良などを防ぐためのきめ細かなメンテナンスが欠かせない。調整の難しさもあるが、「自分の手で磨いたり削ったり、油を注したり調整したりできる」車両でもある。小倉さんは、「もう60年くらい使っている車両なのでさまざまなノウハウがあり、若い人たちには『こんな故障が起きたらこうするんだよ』と技術継承しながらやっている」と話す。

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