1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

高速の料金変動制「全国へ適用」ニュースの波紋 ロードプライシングを2025年度から拡大へ

東洋経済オンライン / 2024年5月24日 7時0分

まず、ベースに「日本の高速道路通行料が諸外国に比べて高い」ことがある。欧米などの物価高や円安で、日本の物価は相対的に安くなっているが、こと高速料金に関しては今でも「安い」という感覚は持たれていないであろう。

さらに、いずれ無償になると説明されていた高速道路の通行料は、2023年5月の法改正により「事実上2115年まで有料のまま」ということになり、多くの利用者を落胆させた。2115年という途方もなく先の年限が、事実上「無料化の撤回」と受け止められたからである。

また、高速道路の利用者は、「混んでいるから時間をずらせる」人ばかりではない。もし混雑時の料金が上がれば、時間をずらせない人にとっては値上がりになってしまう。さらに、業務用の大型車などには、労働時間に上限などを課す「2024年問題」もある。

これまででさえさまざまな時間的制約が課されていたのに、もし料金が細かく時間で区切られることになれば、少しでも安く走行するためには、今まで以上に時間調整を行わざるをえなくなる。これでは、「働き方改革」に逆行しかねない。

これまで高速道路各社は、実にさまざまな渋滞対策を行ってきた。混雑区間の車線を増やしたり、注意喚起の標識や壁面の流れるライトで自然渋滞の発生源となるスピード低下を抑制したりと、多くの時間と経費をかけて解消に努めてきたものだ。

しかし、コロナ禍が明けても、人やクルマの流れは完全には回復していない一方で、東京都以外で人口が減り始めている中でも、首都圏や近畿圏などの大都市や周辺の渋滞が劇的に減った印象もない。

筆者がよく使うのは東名高速道路と東京湾アクアラインだが、以前よりも平日・朝夕の渋滞はひどくなっている印象がある。

大型連休の15km、20kmといった大規模な渋滞を取り上げたメディアも多いが、日頃から高速道路を利用する筆者には、「その程度の渋滞なら平日の混雑時と大差ない」と感じられる。

もちろん、細かい制度の設計はこれからであるため、利用者が感じるさまざまな懸念は払拭されていくかもしれないが、通行料に関しては総じて不満が大きく、また現在の政府が本当に利用者のことを考えて施策を行うかを考えると、不安な声が上がるのもよく理解できる。

「道路と鉄道」2大インフラの関係

高速道路の建設や維持に莫大な予算がかかるのは、山間部の多い地形の日本ではやむをえない面もある。また、高速道路のロードプライシングは外国にも例があるので、導入への抵抗は少ないかもしれない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください