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近鉄の橿原神宮前、ほかの駅にはない「レア風景」 標準軌の橿原線、狭軌の南大阪・吉野線の合流点

東洋経済オンライン / 2024年5月25日 6時30分

日中は大阪阿部野橋―吉野間を直通する特急がおおむね1時間に1本走る。特急車両「さくらライナー」、観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」が同線の顔だ。朝と夕方以降は特急が1時間に2本設定されていて、沿線の通勤・帰宅時間帯の着席需要に応えている。

駅名が示すように、中央口からまっすぐ続く道の先に橿原神宮が位置する。初代天皇の神武天皇が畝傍山の東南に位置する橿原宮で即位したという『日本書紀』の記述に基づき、1890年に創建された。外拝殿には近鉄が奉納した大絵馬が飾られている。

畝傍山の北東には神武天皇陵。正式には「畝傍山東北陵(うねびやまのうしとらのすみのみささぎ)」という。3月27日には天皇皇后両陛下の長女愛子さまが学習院大学を卒業したことを報告するために参拝された。

橿原神宮前駅の平田洋介駅長は1983年の入社。生駒、近鉄奈良の駅長などを経て2023年11月に橿原神宮前駅の駅長に着任した。橿原線沿線の出身で「小学生のころも両親と一緒に橿原神宮に初詣に来ていたのでこの駅には親しみがある」という。「けっこう学生さんの利用が多く、橿原線と南大阪線・吉野線の乗換駅としても重要な駅」と位置づける。

1987年入社の古川繁孝副駅長は「朝夕は乗り換えでザワザワするが、以前に勤務した鶴橋や大阪難波と比べるとゆったりとしていて落ち着いた印象がある。皇族の方に来ていただける数少ない駅に勤務するのは貴重な経験」と話す。

標準軌と狭軌が「対面」

東に橿原線、西に南大阪線・吉野線のホームがある。橿原線のホームは2面4線。いちばん東側ののりばは狭軌で、普段は乗降に使われていないが、貸し切りツアーなどの際に吉野方面の臨時列車を入線させて橿原線と対面乗り換えできるようになっている。一般的には「0番線」という呼称があるようだが「社内では8番線と呼んでいる」(平田駅長)という。8番線と橿原線の1番線、2番線と3番線がそれぞれ島式ホームを共有している。

西側のカーブを描いた2面4線のホームは南大阪線・吉野線。4番線から7番線まである。橿原線ののりばと結ぶ連絡通路は広く、両側にはドラッグストアや、たこ焼き、柿の葉寿司の店舗、和食店、立ち飲みができる酒屋などが並んでいて、一見するとアーケード商店街の一角のような雰囲気がある。

その連絡通路に面して中央改札口がある。大きな屋根が特徴のメインの駅舎は1940年、紀元2600年を記念して建築家・村野藤吾(1891~1984年)の設計により建てられた。橿原線ホーム南端の構内踏切を渡った先に東改札口。反対側の南大阪線・吉野線をくぐった地下に西改札口がある。

標準軌と狭軌の両方の路線が乗り入れる駅ならではのレアな施設もある。狭軌の南大阪線・吉野線の車両は大がかりな検査の際に五位堂検修車庫まで運ばれる。五位堂までの大阪線は標準軌のため、駅東側の「台車振替場」で台車を履き替えて車両を移動させる。

複数の顔を持つ橿原神宮前駅

周辺には日本初の都城である藤原京、江戸時代の町並みが今なお残る今井町といった歴史好きに人気の観光スポットも多い。飛鳥大仏や岡寺、石舞台などを巡るのに便利な「明日香周遊バス(かめバス)」は、橿原神宮前駅東口から出ている。

同駅は、橿原神宮参拝の玄関口であるだけでなく、橿原線と南大阪線・吉野線の乗換駅、歴史あるエリアの観光拠点と複数の役割を担っている。地元では「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の世界遺産登録を目指す動きがある。実現すれば、駅の重要度もこれまで以上に増すことになりそうだ。

橋村 季真:東洋経済 記者

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