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年金生活者たちの「実は優雅な暮らし」の実態 「家計調査」から見えてくる意外な懐事情

東洋経済オンライン / 2024年5月26日 10時0分

この区分の属性は、次のようになっている。世帯人員が2.34人。世帯主の配偶者のうち女の有業率が11.1%。世帯主の年齢は76.4歳、持家率は94.1%。広さは40.3畳だ。

平均年金額は、モデル年金の約9割

まず公的年金額を見ると、月額20万1929円となっている。年間では約240万円だ。

この額は、2023年の厚生年金の「モデル年金」22万4482円より1割ほど少ない。「モデル年金」とは、厚生労働省が年金額の水準を決めるために使っている概念であり、標準的な世帯(平均的な賃金で40年間就業した夫と専業主婦の妻の世帯)の年金だ。

家計調査に表れる公的年金支給額がその年の厚生年金モデル年金より低い理由として、2つのことが考えられる。第1は、国民年金の受給者も入っていること(2023年の国民年金の モデル年金は、6万6250円)。第2の理由は、賃金が上昇した場合、既裁定者の年金は、物価上昇分はスライドして増えるが、実質賃金上昇分は増えないことだ。

「所得代替率」とは、公的年金を受給し始める65歳時点のモデル年金額が、その時点の男性現役世代の平均手取り収入(賞与込)と比較して、どの位の割合かを示すものだ。財政検証で公表している。2019年の財政検証では、所得代替率は61.7%だった。

政府は、所得代替率が50%を下回らないこととしている。退職後の年齢になれば、子育ては終わっており、子供の教育費等を負担する必要はないから、働いていたときのほぼ半分の収入で生活が成り立つというのは、納得できる考えだ。

なお、年金以外にも収入はある。いま考えている区分の場合、世帯主の勤労所得はゼロだが、配偶者やその他の世帯員の収入が、2023年で月8万 3000円ある。その他にも収入項目があり、これらを合計したものを「実収入」と呼んでいる。2023年では月額25万5973円だ。

年金生活者の支出はどれくらいか

支出は、「実質支出」という概念で示されている。月額28万6176円だ。

支出の内容を見ると、最大のものが食料で、月額7万6062円。次が交通・通信費で、3万1439円だ。

以下、次のようになっている。住居:1万6304円(うち設備修繕・維持1万3455円)、光熱・水道:2万3809円、家具・家事用品:1万0864円、被服及び履物:5346円、保健医療:1万6210円、教養娯楽:2万3861円、その他の消費支出:4万8681円、直接税:1万3367円、社会保険料:1万9864円。

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