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全国屈指の赤字路線「JR芸備線」存続への道筋は? 有識者が提言「赤字どころか、伸びしろある」

東洋経済オンライン / 2024年5月27日 6時30分

藻谷氏は、芸備線の「備後庄原―新見間には伸びしろがある」と強調する。それは、芸備線は行き止まりの盲腸線ではなく、岡山県側で伯備線と接続しネットワークを形成していることがポテンシャルとなっているからだ。特に首都圏からの旅行客や外国人旅行客は鉄道利用者が多いことから、仮に伯備線の新見にミニ新幹線が開通した場合、「観光客が新見から芸備線を利用し庄原市や三次市を訪れるルートになる」と話す。

さらに、芸備線は「備後落合駅で木次線とつながっていることも大きい」。例えば、木次線の出雲坂根駅の3段スイッチバックは「世界各地の観光鉄道にもなかなかない線形で、外国人観光客向けの観光列車のメインコンテンツになれる」ため、芸備線は新見から木次線に観光客を呼び込むためのルートとしても活用できる。

藻谷氏は「既存の枠組みで議論している限り、JRも自治体も費用負担をするという話にはならない。国も費用負担に対して関与せよという運動をおこすべき。広島県は総理大臣も国土交通大臣も輩出している」と呼びかけた。

この勉強会を主催した市民団体「芸備線魅力創造プロジェクト」の横川修代表は「JR西日本が再構築協議を要請した備後庄原―備中神代間のうち、最も長い区間のある庄原市の中でも影響が大きい旧西城町の住民に今回の問題をより深く理解してもらうために企画した」と話す。そうした中で、「地域が抱える問題に詳しく、全国各地の事例に精通されている藻谷さんにお願いした」という。

接続が悪く使いたくても使えないダイヤに

芸備線魅力創造プロジェクトが活動を開始したのは2023年1月のことで、備後落合駅でボランティアの清掃活動を実施してきたメンバーを中心に結成。6月に正式に発足した。特に芸備線の「備後落合―備中神代間は存続が厳しいことが容易に予想され、乗客も地元の人に比べ全国から乗りに来る人が多い状況だった」。こうしたことから、「このまま芸備線を本当になくしてよいのかという問題意識から市民団体を立ち上げた」と横川代表は振り返る。

芸備線魅力創造プロジェクトが、最初に行ったことは、シンポジウムを開催するためのクラウドファンディングを実施することだった。7月から8月のおよそ2カ月で300万円以上を集めた。この資金を原資に9月23日には、庄原市内で俳優の六角精児氏や鉄道ジャーナリストの杉山淳一氏をパネリストに招いてのシンポジウム「芸備線・木次線~魅力を活かす方法を考える」を開催した。さらに翌9月24日には、キハ40系気動車2両を使用した団体貸切列車「呑み鉄鈍行ちどり足」号の運行を三次―備後落合間で行った。

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