期待の社員がなぜ失速「不幸な」ミスマッチ防ぐ策 中途採用で役立つ「リファレンスチェック」
東洋経済オンライン / 2024年5月28日 7時0分
【前職の上司からのインタビュー結果】
〇〇さんは、強いリーダーシップで仕事を進めるタイプではない。部下や関係部署の意見を聞きながら、調整して仕事を進めていくタイプである
部下にある程度、仕事を振って「よろしく頼む!」と一任するよりは、「今の彼(彼女)の実力でできるだろうか?」「今の彼(彼女)の業務量・キャパシティで可能だろうか?」と気にしながら、依頼している印象がある。
【前職の部下からのインタビュー結果】
〇〇さんは、部下に仕事を丸投げせず、一緒になって自ら汗をかいてくれる上司だった。
常に部下の進捗や行き詰っているところを気にかけてくれていたので、私自身はやりやすかったが、「もっと自分に任せてほしい」と思う人にとっては、やりにくい面もあるのかもしれない。
〇〇さん自身、仕事を抱え込んでしまっているせいか、時折レスポンスが遅い時もあった。
このような形でさまざまな項目について、膨大なインタビュー結果が記載されている。
リファレンスチェックは、応募者にとって最も信頼できる、親しい関係性の人にお願いするケースが多いが、その場合、「事前に口裏を合わせて、いいことしか言わないのでは?」と信憑性を疑う声もある。
だが、リファレンスチェックのプロは独自の質問手法を持っており、その人物に対する評価をあらゆる角度から深掘りしていく。応募者の関係者が、本人についてどれだけいいことを言おうとしても、ついうっかり実態を明かしてしまうほど、インタビューに長けているのだ。
中には、相手が本心を話しているかどうか、表情の微妙な変化から読み解くためにも、「対面でしか行わない」というプロもいるほどだ。
リファレンスチェックは「踏み絵」の役目も
こうして応募者について、それぞれ異なる立場の関係者から評価をもらうと、おおよその人物像が見えてくる。
私がとくにフォーカスしているのは、応募者の「仕事の進め方」や「強み・弱み」、そして管理職であれば「マネジメントのやり方」だ。それが自社のカルチャーや配属先の仕事の進め方、人員構成(スタッフの属性や雰囲気)に、マッチするかどうかを重視している。
応募者に「リファレンスチェックをさせてほしい」と提案すると、「だったら結構です」「それなら他社の選考を優先します」と断られるケースもある。その場合は、本人に「何かやましいことがあるのでは?」と勘ぐらざるを得ない。
ちなみに選考過程で、応募者をビジネス向けSNS「LinkedIn(リンクトイン)」で検索し、経歴もろもろ確認することが多いのだが、そういう人物に限って、なぜかリファレンスチェックを断られた直後から、一切検索ができなくなってしまう。
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