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静岡知事選も「自民敗北」、麻生政権末期と共通点 支持率低迷、総裁選に向け"岸田離れ"も拡大

東洋経済オンライン / 2024年5月28日 8時30分

大村氏にとって、選挙の告示前に、同県内を地盤とする自民有力者だった塩谷立衆院議員(比例東海)が裏金事件で離党。さらにいわゆる“パパ活”問題で宮沢博行前衆院議員(同)が議員辞職したことが、選挙活動の足を引っ張る結果となったのは否定できない。

選挙結果を踏まえ、大串博志・立憲選挙対策委員長は26日深夜、記者団に「自民が政治不信の問題を払拭できていない中で、野党にしっかりしてくれという声の表れだ。衆院選に向けて、受け皿になれるように頑張りたい」と強調したと報じられている。これに対し小渕優子・自民選対委員長は「県民の審判を真摯に受けとめる」との談話を文書で発表するにとどめた。

「自公」は前面に出られず、立憲・国民は共闘アピール

今回知事選では、与党の公明が早々に自主投票を決めるなか、自民は告示直前の5月7日に、党本部が大村氏の推薦を決めたが、選挙戦では党幹部や閣僚の現地入りを封印して、裏金事件による逆風回避に腐心。これに対し、立憲は補選全勝から政党色を前面に出し、泉健太代表や野田佳彦元首相が、玉木雄一郎・国民民主代表らとも連携して、野党共闘をアピールした。

選挙結果も踏まえ、国会は週明けから「政治改革」が最大の山場を迎える。裏金事件を受けた政治資金規正法改正案をめぐり、与野党協議が大詰めとなるからだ。自民が単独提出した改正案には、野党が「はしにも棒にもかからない内容」と反発。自民も知事選敗北でさらに追い込まれるのは避けられそうもない。

反転攻勢の手がかりなく、「菅退陣」と同様の展開に

過去を振り返ると、菅義偉前首相も2021年4月の「衆参トリプル選」で「全敗」。東京五輪・パラリンピック開催中の同年8月に、地元・横浜市長選に出馬した腹心が野党系候補に惨敗したことで「菅首相では選挙を戦えない」との声が高まり、翌9月の総裁選直前の退陣を余儀なくされた。

それから3年が経過するが、現状をみる限り「岸田政権もまったく同じ経過をたどっている」(政治ジャーナリスト)ようにみえる。さらに、自民中堅議員の多くは「地方選が政権の息の根を止めていく点では、政権交代につながった麻生政権末期とも似ている」とため息をつく。たしかに、2009年の麻生政権は同じ静岡知事選で野党系候補に敗れた約2週間後に衆院を解散し、8月末の選挙で大惨敗して野党に転落している。

そうした中、岸田首相周辺は「支持率も少しずつ上がり始めている。6月には定額減税が実施されるし、野党もバラバラなので、麻生政権の時とは違う」(岸田派幹部)と力説する。しかし、与党内の反応は極めて冷たくなるばかりで、「政治資金規正法改正で余程思い切った対応をしない限り、反転攻勢の手がかりは掴めない」(自民長老)というのが実態だ。

泉 宏:政治ジャーナリスト

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