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JR東、申し込み殺到「JREバンク」で特典奮発の勝算 破格の大盤振る舞いでも相互送客で実を採る

東洋経済オンライン / 2024年5月29日 8時0分

「もともとグループ内にあるもの(サービス)を生かして、お客様が『嬉しいな』と思っていただけるものは何かを、さまざまな議論を経て決めていった」と、JR東マーケティング本部の大井洋氏は振り返る。

もちろん、ボツになった企画もある。当初は、フリー切符のような、安い運賃でJR東内の路線を幅広く利用できる特別乗車券も構想にあった。だが、「きめ細かくサービスを展開するにはシステム的に対応するのが難しかった」と、JR東の関係者は明かす。

「JREポイント経済圏」という構想

JR東の経営戦略において、同社初の金融サービスとなるJREバンクはどのような意味を持つのか。それは顧客囲い込み戦略の「橋頭堡」だ。JR東の伊藤敦子常務は、「『JREポイント経済圏』を確立するためのツールのひとつにしたい」と強調する。

JREポイント会員を中心に据えた、移動、購入、決済といったサービスのワンストップでの提供――。2018年に公表した経営ビジョン「変革2027」ではそう掲げている。

少子高齢化による人口減少を受けて鉄道事業も先細りする懸念がある。そのため、JREポイントを武器に事業間での「相互送客」を促すことで、新たな成長戦略を加速する狙いだ。JR東の場合、鉄道だけでなくコンビニやホテル、賃貸マンションといった顧客の生活圏に密着した事業を多数持つ。そのためにポイント展開もしやすい。

かつてはサービスや会社ごとに独自のポイントを提供しており、グループ内に20以上のポイントサービスが乱立していた。ポイント連携もなく、ユーザーにとってみれば、商業施設の「アトレ」で貯めたポイントをほかの駅ビルで使用できないなど使い勝手が悪かった。

そのため、JR東はグループポイントの共通化に着手。2016年から5年をかけてSuicaポイントや「ビューサンクスポイント」(クレジットカードのビューカードのポイント)を含めた、主なポイントサービスをJREポイントのプラットフォームに統合した。

そういったポイント共通化の流れの中で投入されたのがJREバンクだ。すでにクレジットカードを自社展開するJR東において、決済分野をさらに拡充させる意味は大きい。

「口座を開設したときから、お客様との接点を持てる。長期的なお付き合いにつながる」と、JR東マーケティング本部の岡部征次郎マネージャーは話す。

鉄道事業の移動情報や小売り事業の購入情報、そして金融事業の決済情報を解析することで、サービスの利用頻度や魅力を一層高められる。「JRE ポイント生活圏の拡大に資するインフラとして育てていきたい」(岡部氏)考えだ。

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