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大阪メトロ江坂駅、御堂筋線「北の重要拠点」の今 箕面萱野まで延伸した北大阪急行との接続駅

東洋経済オンライン / 2024年5月29日 6時30分

大阪メトロ江坂駅のホーム。画面奥が北大阪急行の箕面萱野方面(撮影:伊原薫)

2024年春、大阪の鉄道地図が少し変化した。北大阪急行電鉄(以下「北急」)の延伸開業がその理由で、半世紀以上前に生まれた構想がついに現実のものになった。

【写真14枚】大阪メトロ御堂筋線の北端にある“要衝”、江坂駅とその周辺には何があるのか?

これまで箕面市には西部を走る阪急箕面線の駅しかなかったが、大阪市中心部に直結する“大動脈”が生まれた。沿線住民や自治体の期待は大きい。新たに生まれた駅の周辺では、商業施設や公共施設、マンションの建設も進んでおり、数年後にはさらに発展していることだろう。

御堂筋線と北急線の接続駅

一方、北急線は大阪市高速電気軌道(Osaka Metro、以下「大阪メトロ」)の御堂筋線と相互直通運転を行っている。吹田市にある江坂駅はその両者の接続駅だ。

「北急線の延伸開業によって、御堂筋線を利用するお客様の数は増えた印象です。開業から2カ月が経って少し落ち着きましたが、それでも以前よりは多く感じます」と話すのは、今年4月から江坂駅の駅長を務める中島敏文さん。

【写真】大阪メトロ御堂筋線の北端にある“要衝”、江坂駅とその周辺には何があるのか(10枚以上)

「駅長」と書いたが、実は大阪メトロには「江坂駅長」という役職はなく、中島さんの正式な役職名は「梅田管区副管区駅長」という。梅田駅以北の梅田管区に3人いる副管区駅長の1人で、江坂駅と南隣の東三国駅を担当しており、江坂駅に常駐しつつ必要に応じて東三国駅に向かう。

「江坂駅で乗降されるお客さまの層としては、ビジネスマンが多いですね」(中島さん)。江坂駅の周辺はかなりのビジネス街で、ダスキンをはじめ大企業の本社などもある。ラッシュアワーを過ぎてもスーツ姿の利用者が多いのは、そうしたオフィスに出入りする人たちなのだろう。

一方で、昼間や土曜・休日は買い物客と思しき人の利用も多い。近くに布地を取り扱う有名な店があるほか、新御堂筋の1本西側は「江坂ウエストサイドストリート」と名付けられ、飲食店などがにぎわいを見せる。

大阪メトロのなかでも大きな駅

「実は、私は25年ほど前に江坂駅に勤務していたことがあるんです。駅前の『ハンズ』(当時は東急ハンズ)が当時は大阪で唯一の店舗だったこともあって、その頃から栄えているエリアだという印象です」(中島さん)

ちなみに、江坂駅の利用者数は、乗車と降車を合わせて1日あたり約8.2万人(2023年11月の調査)。御堂筋線で特に利用者が多い梅田―なんば間や天王寺駅には及ばないものの、それ以外では新大阪駅(約14.0万人)に次ぐ規模で、なかもず駅(約6.9万人)よりも上となる。大阪メトロ全体で見ても、かなり大きな駅なのだ。

江坂駅を改めて観察してみる。もっとも大きな特徴は自動券売機で、大阪メトロ用と北急用をそれぞれ設置。北急の社員は常駐していないため、集金などの日常的な管理はどちらも大阪メトロが行っている。

また、ホームの南端には大阪メトロの、北端には北急の乗務員詰所があり、列車が来るたびに乗務員が吸い込まれてゆく。入線してくる列車を真剣なまなざしで出迎え、テキパキと引き継ぎ作業を行って発車してゆく様は、いつ見ても気持ちがよい。

2022年3月にリニューアル

「江坂駅は、2022年3月にリニューアル工事が完了しました。長らく手を加えていませんでしたので、壁面や天井の改修などを行ったほか、駅サインも刷新しています」(中島さん)

実は筆者も20年ほど前に江坂駅をよく利用していたのだが、以前は薄水色の壁と少し暗めの照明で、高架下ということもあって少し薄暗かった。久しぶりに訪れた同駅は、思わず「おお!」と声が出るほど明るい印象に。一方で、ホームに上がる階段のタイルは以前のままで、懐かしさを感じた。

ところで、御堂筋線では早朝と深夜に江坂駅を始発・終着とする列車がある。江坂駅では夜間の車両留置を行っていないため、深夜のなかもず発江坂行き列車は到着後に大国町駅まで回送。翌朝に江坂駅から発車するなかもず行きの一番列車も、大国町駅から回送されてくる。江坂駅で折り返す列車は箕面萱野方面行きホームから逆向きに出発し、駅南側にある片渡り線で下り本線に移る仕組みだ。

「以前は、千里中央発の最終列車は江坂行きで、なかもず発江坂行きの列車がこれと接続して折り返し、なかもず方面への最終列車となっていました。私は以前、輸送指令所で働いていたんですが、この接続がうまくいかないと他の路線の最終列車にも影響してしまうので、いつも気にしていました」(中島さん)

一方、駅の北側にも片渡り線があり、北急線の列車も折り返せるようになっているが、ここを通る営業列車はなく、北急の試運転列車などが使うだけである。

オフィス街だけでない駅周辺

駅周辺にはオフィスビルや飲食店が密集する一方、江坂公園や豊津公園といった大きな憩いの場もある。

「休日に江坂公園へ行ってみたんですが、お弁当を広げている人や子供たちと遊んでいる人などでにぎわっていました。豊津公園には『太陽の塔』で有名な岡本太郎氏のオブジェがあり、こちらも人気のようです」と話す中島さんの手には、分厚いファイルが。江坂駅長として赴任した際、この地域のことを知っておこうと、インターネットなどを使って集めた資料だという。

「自分で資料を集めたり実際に行ったりすることで、お客様への案内もより確実なものにできますので」とのことだが、かつてこの近くに住んでいた筆者としても、その心意気がなんともうれしい。

「ビジネスマンだけでなく、買い物やレジャーに来られるお客様など様々な方が快適にご利用いただけるよう、これからも勉強の毎日です」(中島さん)。大阪市外にある大阪メトロの駅としては随一の規模を誇る江坂駅で、中島さんは今日もその陣頭指揮を執っている。

伊原 薫:鉄道ライター

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