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原動力は「選手強化」大規模アイスショーの舞台裏 フィギュアブームが追い風、「羽生結弦」の存在感

東洋経済オンライン / 2024年5月29日 8時0分

「彼の単独ショーや座長ショーの影響は、やはりあると思います。当社もその運営に関わっているのでわかっているし、現状を楽観視してもいない。ただ、お客さんを奪い合うというよりは、お互いに高め合いたいという気持ちです。『ファンタジー・オン・アイス』は、多くのスケーターやアーティストが一緒につくり上げるエンターテインメント。その魅力をうまく打ち出していきたい」(真壁社長)

チケットの売れ行きが非常に好調だったこの10年、ショーの内容を充実させるための投資には力を入れてきた。2023年に初めて導入したムービングステージ(SNS上ではロボット掃除機になぞらえて「ルンバ」と呼ばれた)もその一環だった。

真壁社長は、「この10年が特別で、それが元に戻るということなのかもしれない」とも吐露する。

10年の間、自身もスターの演技に魅了されつつ、しかし経営者としては「スター依存」への危機感を持ち続けた。だからこそ、「“フィギュアスケートファン”、“ファンタジー・オン・アイスファン”を増やしたい」という変わらぬ思いを強調してきた。

真壁社長の話を聞いたのは2023年公演後、少し経ってからのことだった。2024年公演はどうだったのか。5月24日の幕張公演初日を取材した。

印象的な点を2つ挙げると、まず、前述したムービングステージ、「ルンバ」の運用が洗練されていた。青木祐奈さんと城田優さん&安田レイさんのコラボ演目である「A Whole New World」(ディズニー映画『アラジン』主題歌)では空飛ぶ魔法の絨毯のように使われ、観客をどよめかせた。

2023年の公演では初導入したムービングステージの特長を生かしきれなかった。観客からは、「ルンバ」によってむしろ鑑賞体験が損なわれているとの声が多く上がった。そうした初年度の不満を解消し、「『ルンバ』だからこそ」生きる演出を2年目にして実現した形だ。

ディープな「ガンダム祭り」

2つ目は、アニメ「ガンダム」シリーズを前面に押し出すプログラムづくりだ。参加アーティストであるT.M.Revolution/西川貴教さんはコラボプログラム向けに4曲のパフォーマンスを行ったが、フィナーレ「HIGH PRESSURE」を除いた3曲がガンダム関連の楽曲だった。例えば、羽生結弦さんとのコラボプログラム「ミーティア」は「ガンダムSEED」シリーズの劇中歌だ。

ガンダムファンの琴線に触れる選曲である一方、初日時点では会場内に「何の曲だろう?」と戸惑う観客もいたように感じられた。「WHITE BREATH」や「HOT LIMIT」のような大ヒット曲を多数持つ西川さんであるだけに、それを期待して来た観客を落胆させるリスクをはらむ、かなり思い切った選曲といえる。

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