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発達障害の人、遅刻を防ぐ「見積もり時間」の法則 焦れば焦るほどドツボにはまってしまいがち

東洋経済オンライン / 2024年5月30日 13時30分

(出所:『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』より)

「なぜかいつも周りの人とやることがズレてしまう」「簡単そうに思える意思の疎通ができない」など、さまざまな場面で困りごとを引き起こしてしまう発達障害ですが、その原因について、精神科医の岩瀬利郎氏は「定型発達の人と見えている世界が違うから」だと指摘します。

ではいったい、発達障害を抱えている人の見えている世界とはどういうものなのでしょうか。岩瀬氏の著書『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・再編集して解説します。

遅刻が多く、部屋も片付かない

発達障害の人に遅刻が多いことは、よく知られた事実です。これは、多くの人が合併している睡眠障害に伴う朝寝坊や、注意散漫、準備の優先順位がわからなくなるなど、特有の性質に起因していることは間違いありません。

【マンガでわかる】時間の見積もりがうまくできず、遅刻してしまう発達障害の例

また、部屋の中やデスクの上が片付けられず、物が散乱した状態になってしまうという現象も、注意散漫や衝動性に原因を求めることができます。

お風呂に入れなかったり、電車、特に地下鉄に乗れなかったりするのは、ASD(自閉スペクトラム症)の人に見られることがある感覚過敏が原因かもしれません。

このように、定型発達の人が「当たり前」と思って平然とこなしているにもかかわらず、発達障害の人がしたくてもできない多くのことの背景には、本人なりの理由、そして、努力ではどうにもならない特性があることが多いのです。

しかし、それらの諸問題は、ちょっとした工夫や働きかけによって、かなりの部分、解決できることもあります。

具体的な問題に対しては、具体的な方法で素早く対応しましょう。

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

焦れば焦るほどドツボにはまってしまう

ADHD(注意欠如・多動症)のWさん(21 歳・女性)は、大切な面接に遅刻してしまいました。「メイクは15分」「着替えに10分」などと見積もっていたら、実際にはそれぞれ30分もかかってしまったのです。

時間を気にしていないわけではなく、頑張って準備しているのに、なぜか毎回遅れてしまう。これは、脳の特性による、時間的な見積もり能力の低さが原因のひとつだと考えられます。

もっとも単純で効果的な対応策は、実際の集合時間より15分早い時間を伝えるなど、“時間を早めに設定すること”です。ご家族が手助けするときは、あらかじめ必要な時間を聞き、本人が見積もった時間より3倍はかかると踏んでおきましょう。

“見積もり時間×3の法則”が有効

また、直前に別の情報が入ると、やるべきことの優先順位がわからなくなりがちです。

出発の1時間前に資料を確認してもらうなどして、直前のバタバタを防止しましょう。

脳の特性からくる遅刻癖は、簡単には改善しません。対策を用意することが得策です。

生きづらさを抱えるあなたへのヒント!

歯磨きや着替え、メイクなどのルーチンで行う習慣に関しては、それにどれくらい時間がかかるのか、一度記録してみてください。

そのうえで、“メイク15 分”などリスト化して、見える場所に貼っておきましょう。

漠然と行動の時間を早めるのではなく、リストにして可視化することで、時間を正確に逆算するのです。

岩瀬 利郎:精神科医、博士(医学)

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