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「あなたは私?」と虜にする文章を書く究極のコツ  全員に向けて浅く刺すなら「広いあるある」が有効

東洋経済オンライン / 2024年5月30日 15時30分

なにをきどって「サウナ行ってます」ってお前カラオケに「メシ食い行こ」って言うやついねぇだろ。「最近の主役は俺です」みたいな顔して宮城リョータ(①)か?

(中略)

…いや、別に一人で粛々と修行僧かの如くサウナと水風呂繰り返し続けてるんだったら全然好きにやれって感じなんですけど、あいつら徒党組むだろ。土日夜のスーパー銭湯とかゴブリン突撃部隊(②)みたいな大学生の集団アホほどいるしよ。あと野犬並みにやかましい謎のオッサンのコンビな?

(中略)

しかも、あいつらサウナ出てかけ湯なしアズスーンアズで水風呂入りやがるし、「黙浴」の張り紙見えてない時点で目もやられてるだろ。「整う」は完全なる有毒行為、はやく法律で規制したほうがいいし整ってるやつ全員逮捕したほうがいい。俺が杉下右京(③)だったらなにがなんでも任意で引っ張ってるからな? 命拾いしたな? 拾った命大事にしろや。

(kansou「死ぬほどサウナ入ってるのに一回も整ったことないしむしろ乱れてる」より)

ここで登場する
宮城リョータ①(漫画『SLAM DUNK』のキャラクター)

ゴブリン突撃部隊②(カードゲーム『遊戯王OCG』のモンスター)

杉下右京③(ドラマ『相棒』の主人公)

はすべての人間が知っているとは言い難く、記事の内容に全く関係がない固有名詞です。

しかし、「ある特定の誰か」に向けて「狭いたとえ」を出すことで、「この文章は俺にだけ向けられている」という特別感が出ます。

重要なのは、固有名詞だけで攻めるのではなく、誰にでもわかるネタの中に固有名詞を「忍ばせる」ことです。

そもそも「整ってる」男だいたい存在がうるせえんだよ。声デカいし顔の圧ヤバいし目バッキバキだし、本棚に『嫌われる勇気』と『夢をかなえるゾウ』と『人は話し方が9割』あるし、しょうもない仕事のこと「タスク」とか言うし、なんか海外のほっそい瓶ビールとか飲むだろ。

(kansou「死ぬほどサウナ入ってるのに一回も整ったことないしむしろ乱れてる」より)

書き手を表現できる手段としても

こちらは「特定の誰か」を決めずに「人間の脳に思い浮かぶいけ好かないサウナー」をたとえて言語化した文章なのですが、「声デカい」「顔の圧ヤバい」「目バッキバキ」というぼんやりとしたイメージの中に、『嫌われる勇気』『夢をかなえるゾウ』『人は話し方が9割』と、本のタイトルを限定して挙げています。この部分は「自己啓発本」と置き換えても成立するのですが、あえて固有名詞を使うことで、読者のイメージがより鮮明になると考えました。このように「広いあるある」の中に「狭い固有名詞」を混ぜていくのがポイントです。

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