チョコザップの成否も握る「RIZAP株続落」の真因 経営陣の株式市場との向き合い方には難あり
東洋経済オンライン / 2024年5月31日 7時20分
当初計画を上回る決算だったにもかかわらず、翌日の株価は一時ストップ安、しかも5日続落――。そんな事態に見舞われたのはRIZAPグループ(ライザップ)だ。
【株価の推移を見る】RIZAPグループの株価は今年3月の高値から37%下落している
ライザップといえば、月額2980円(税抜き)の廉価ジム「chocoZAP(チョコザップ)」が話題だ。2022年7月の展開開始からまだ2年足らずだが、直営で約1500店を出店。この間、広告宣伝費やアプリ開発費などを含めた出店費用は約369億円に上った。
ライザップの企業規模を考えると、大量出店するチョコザップはまさに社運を懸けた事業。だがその成否をも左右する根深い問題が、株価続落の背景に横たわっている。
失望売りをなぜ招いたのか
5月15日にライザップが発表した2023年度決算は、チョコザップを約900店も出店する中で営業赤字を約6億円にとどめた。年度当初に予想した営業赤字45億円よりは格段に改善した数字で着地した。また、2024年度の営業利益予想は63億円と、3期ぶりに営業黒字化する計画を発表した。
ところが株式市場は失望売りを浴びせた。2024年度の計画値が期待を下回る数字だったからだ。瀬戸健社長は、「攻めの姿勢を期待されているかもしれないが、今回はあえて慎重な数字を示した」と東洋経済の取材で語った。市場の反応はやむなしとの雰囲気だ。
2024年度は出店数を昨年度の「7掛け」(瀬戸社長)に抑える代わり、足場固めを進める計画だ。店舗を巡回するトレーナーを500人採用。マシンの利用法を教えるなど顧客満足度を高めつつ、店内環境の把握に努めることに費用をかける。
振り返ると、チョコザップに対する市場の期待はやや先行していた。実際は、故障マシンの修理の遅れや店舗内の清掃不備など無人運営ならではの課題が、チョコザップの成長を阻害する要因になり始めていた。そのことを考えると、慎重な計画であることはもっと評価されていい。
ただ、市場の期待は勝手に高まったわけではない。単月黒字化のアピールや2026年度に3800店とする中期経営目標のアップデート、配当復活についての言及など、ライザップ側が醸成したものだった。
市場が失望した場面は今年3月にも見られた。瀬戸社長が行った立会外分売のときだ。立会外分売とは、取引時間外(立会外)に不特定多数の投資家にあらかじめ決まった価格で株式を大量に売り出すことをいう。
「不発」に終わった分売
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