業界騒然「豆腐バー」異例のヒットになった道筋 創業52年のメーカーが新基軸を開発できた理由
東洋経済オンライン / 2024年5月31日 7時0分
「私はいい意味で知識がなかった」という池田社長。豆腐に関する固定観念がなかったからこそ、豆腐バーという新たな領域へ踏み込むことができた。一般的な豆腐と違い、仕事の合間のおやつや、ダイエット、プロテイン補給などの目的で選ばれることが多く、購入層の中心は40~50代で、20~30代も多い。豆腐をあまり買わない男性も4割を占める。
4つ目の理由は池田社長の周囲を巻き込む力にある。前提として、アサヒコが長年のデフレにも苦しめられていた問題がある。
総務省の家計調査によると、豆腐1丁の単価は2004年に90.2円だったのが、2022年は30円近く下がった。業界大手は効率的に大量生産して単価を下げ、価格競争に巻き込まれた中小企業は耐えきれず廃業していく。セゾングループを離れたアサヒコも2014年、経営を立て直すため、韓国の健康食品メーカーで豆腐シェア世界一のプルムウォン傘下に入った。
池田社長が入社した当初は、価格競争に陥っていた豆腐業界では生産性の高い企業が勝つ、という考えが浸透し、これまで技術で勝負してきた職人たちの自己評価は下がっていた。
が、その後豆腐バーの開発を自ら進めると、職人たちの池田社長を見る目も変わってきた。価格でなく、技術力で勝負をする、という本来の仕事ができるようになったのだ。
シンガポールデビューした豆腐バー
池田社長の巻き込む力は、海外進出の際にも効力を発揮している。豆腐バーは今年4月から、シンガポールでの発売が開始されたのだ。背景には豆腐バーを冷凍する技術が確立できたことがある。
もともと池田社長は、水分が少ない豆腐バーを揚げ物などに利用できないかと提案してきた。しかし、「日持ちしないので扱うのは難しい、と言われました。それで冷凍保存する方法を探していたんです」と池田社長。
豆腐バーを通常の形で冷凍すると、水分が膨張しスカスカになる。しかし昨年春、池田社長はメーカー・コンサルのゼロカラが販売する、超高速凍結機と出合う。超高速凍結機なら、水分が膨張する暇がない。結果、豆腐バーは凍らせても食感がまったく変わらなかった。
このとき、ゼロカラと提携する食品卸大手の国分グループが「これだったら海外に持って行ける」と判断。折よく、豆腐バーを凍らせた際に同社のシンガポール駐在員が帰国していて関心を示し、とんとん拍子で話が進んだ。
海外に工場を建てる方法もあるが、池田社長は「私は、日本で生産する豆腐が一番おいしいと思っています。韓国や中国、アメリカも、日本と同じくアメリカの大豆を使いますし、製造機械はどの国でも日本製がほとんど。違うのは水なんです。日本の水はミネラル分が少ない軟水で、豆腐製造に適している。ですから、日本で製造し輸出したい」と熱く語る。
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