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部下のやる気アップに「ほめる」より大事な一言 コーチングにおける「アクノレッジ」とは何か

東洋経済オンライン / 2024年6月3日 18時0分

「承認」と聞くと、「ほめる」ことを連想される方もいるかもしれません。確かに「ほめる」というのは、相手が出した結果に評価を添えて承認していると言えます。つまり「結果承認」です。

ですが、相手のやる気を起こさせたり、エネルギーをチャージさせたりするコミュニケーションとして「結果承認」を使っていると、相手はいずれ何らかのタイミングで“ガス欠”になる恐れがあります。

ある英英辞典には、アクノレッジメントとは「その人がそこにいることに自分は気が付いている。それを相手に伝えること」と書かれていました。
これこそがまさに「存在承認」です。

先ほどの「結果承認」も広義にはアクノレッジメントのひとつです。しかし結果が出ていなくても、存在そのものを愛しく感じるようなアクノレッジメント、つまり存在承認が人には絶対的に必要になります。

そういう意味でデービッドが私たちに投げかけてくれた言葉は、まさにアクノレッジメントでした。「こんなことをあなたたちはしてくれた」という認識を共有してくれただけで、評価がそこにあったわけではないからです。

小さい子供は、「ねえ、見て!見て!」と、自分の周囲に何かを見つけては指をさします。

あれは、実は、自分が指さしたものを見てほしいというよりも、「それを指さしている自分」を見てほしいのです。それに気づいている自分に気づいてほしい。

協力関係をつくらなければ生き残ることができなかった人類という種は、周りから自分の存在を否定されれば、それは社会的な死を意味します。ですので、人間のDNAには「自分の存在の承認を求める」ということが書き込まれているのではないかと思うぐらいです。

心理学では、「Unconditional Love(無条件の愛)」を、おじいさんやおばあさんから受けた子供は、とても精神的に安定した人に育つと言われます。

親は、どうしてもしつけという観点から、何かできたらほめ、できなかったり間違ったりしたら叱る、ということをやりがちです。でも、祖父母は、そうした育成責任から少し解放されていますから、とにかく子供を無条件に受け入れる傾向が強い。

そうすると子供は、「結果承認」の前に、「存在承認のシャワー」を継続的に受けることになります。結果、自分の価値というものを、過剰に周りの判断に依存しなくてよくなる。

自分の存在は、「そもそも肯定されている」というのがデフォルトですから。

言い方を変えれば、周りに自分を認めてもらうために行動を起こしたり、発言をしたりする必要がなくなるわけです。

承認されるために「ゲーム」をする人もいる

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