ビッグモーター問題でオリコとジャックスに明暗 オートローン取扱高1兆円を挟んでの攻防戦
東洋経済オンライン / 2024年6月3日 7時40分
大手信販会社の収益の4分の1程度を稼ぐオートローン。その多くが中古車の購入で利用されている。高額商品の割賦サービスを本業とする信販会社にとって、販売規模が年間4兆円近くに上る中古車マーケットは絶好の草刈り場だ。
【信販2社のオートローン取扱高】オリコとジャックスが「抜きつ抜かれつ」
だが昨年は、中古車販売大手ビッグモーターの保険金不正請求問題にオートローン市場も揺れた。大手総合商社の伊藤忠商事がビッグモーターの事業を買収し新会社を発足させたことで、市場の状況はまた変わろうとしている。
そこで明暗が分かれそうなのが、オリエントコーポレーション(オリコ)とジャックスの信販大手2社だ。
長年にわたりオートローン市場で圧倒的な地位を築いてきたのはオリコだ。だが、ビッグモーターが中古車マーケットでシェアを拡大するにつれ、同社との連携を強めてきたジャックスの取扱高が急伸した。
業界初1兆円でも喜べないジャックス
10年前の2014年3月期の時点では、オリコの取扱高7365億円に対してジャックスは3856億円(ともに単体)と倍程度の差があった。それが2023年3月期にジャックスの取扱高が9997億円となり、ついにオリコを抜いて業界首位の座に君臨した。
ジャックスの取扱高は、直近決算の2024年3月期も1兆923億円と拡大している。業界初となる1兆円を突破し、歴史的な数字を記録した。ところが、足元ではその勢いに急ブレーキがかかっている。
日本中を騒がせたビッグモーターの不正問題を受けて、ジャックスは2023年8月にビッグモーターとの新規取引を停止。2024年3月期はビッグモーターからのオートローンの持ち込みが前期比で3分の1以下にまで落ち込んだ。
そうした中でもオートローンの取扱高を伸ばせたのは、歴史的な円安によるところが大きい。
ジャックスは輸入車マーケットのオートローンで群を抜く強さを持っている。前期は物価高と円安によって輸入車の価格が上昇し、購入者のローン利用額も増加した。地方の中古車販売や国産ディーラーでの取り扱いも拡大したことで、ビッグモーターの落ち込み分を打ち返した。
だが、今期は2010年3月期以来15年ぶりに前期比での落ち込みが予想されており、オートローンの取扱高は1兆円を割る見通しだ。
事業を手放したビッグモーターからの持ち込みがゼロになるのはもちろん、その事業を伊藤忠の元で引き継いだ「WECARS」(ウィーカーズ)との取引は現在のところ予定されていない。ダイハツの不正問題の影響も相応の押し下げ要因になっている。
今期はオリコが1兆円突破の見通し
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