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東大卒ママたちが「高学歴女性」に伝えたい"教訓" 結婚相手選びは?子どもを産むタイミングは?

東洋経済オンライン / 2024年6月3日 10時0分

「東大卒女子」たちが高学歴女子の後輩たちに伝えたい教訓とは?(写真:東京大学多様性包摂共創センター提供)

「女性が高学歴だと結婚できなくなるよ」「子どもが小さいのに職場で上のポストを狙うなんて」「子どもが可哀想」――。

【写真】東京大学構内に掲示されて話題になっているポスター

こうした言葉を投げかけられてきたとされる、東京大学を卒業した女性や在学中の女性。それらが「#言葉の逆風」だとして、東京大学内にポスターが掲示され話題になっている。

東京大学の卒業生の母親グループである私たち「東大ママ門」は、すでに大学を卒業している30~40代を中心に約560人が集うグループだ。子育て関連の情報交換を主目的としているため、大半が結婚して、子どもを産んでいるメンバーだ。

「高学歴の女は結婚できない」というが、そうではないことは私たちの経験からしっかり否定できる。とはいえ、順風満帆な話ばかりではない。子どもに関する言葉には罪悪感を覚え、悩んできたメンバーも多い。

「東大ママ門」は昨年度、すでに社会人となり、母親となったメンバーから、「22歳の私に送りたいメッセージ」を募集した。前編記事続く今回は、結婚相手に求めるものと子どもを産むタイミングについて、子どもを産んだ後の今だから言えることをお届けしたい。

前編記事:なぜ東大女子は少ない?知られざる卒業生の本音

※2023年10月21日の東大ホームカミングデーイベントで東大ママ門が、東大女子が贈るフリーペーパー”biscUiT"とパネルディスカッションを実施。それに際して、主に20代から50代の東大卒業生の女性にアンケートを実施し、85名から回答を得た。

配偶者に求めるものは?

結婚相手について。「『配偶者選び』について、22歳の自分にアドバイスしたいことは何ですか?」との質問には、さまざまな回答が寄せられた。

「価値観が合う」「話し合いができる、尊敬できる」人を選ぶのがよい、とのアドバイスが、全体の4割弱と最も多く聞かれた。

「どういう人生を生きたいか」のビジョンが近しい人と結婚するのがおすすめです(何を幸せと感じるか、お金はどのくらい必要なのか、安定志向or冒険志向 etc)

自分にとってゆずれない最低限のことは何か、自問自答し、それを満たす人を探す。そんな人は、希少価値。一人見つかったら、その人。

それぞれの将来について大体同じ方向を向いている(どうなるか全く見通しがないものの)、周囲がどうであろうと前に進むという同志であること(で良かったです)。

何でも言い合える関係性があるかが大事。子どもができると何度も衝突するが、その都度話し合える関係があれば乗り越えることができる。

ふたりが向き合って話し合い、課題解決できるかどうかが一番大切だと思います。逃げない人を選びましょう。

結婚はお互いが今結婚しようというタイミングでしかできないのでそれを見極めることが大事だと思う。その人と今後起こるであろう大変なことを一緒に乗り越えられるかという視点で選ぶ。

自分が「この人は!」と見定めた相手とチームを作り、思い描く未来に向けて、共に困難を越えていく。それを実現するための結婚相手には、自身と価値観があい、対話に前向きで、さらに対話によって自分を変えることができる人、といったことが重要というメッセージが伝わってくる。

自分のキャリアは守ること

そして「自身の価値観」に関連して、複数人から「自身のキャリアは守って」といった趣旨の回答があった。コメントを抜粋する。

「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」冨岡義勇(鬼滅の刃)。相手に頼らず自分で暮らしていく力があればどんな相手だって大丈夫。相手の職業や年収、健康はいつか無くなる可能性もあるので頼ってはいけない。

自分のキャリアは守ること、それだけあれば、好きな人と結ばれればいいと思います。

何事も対等に話し合える関係をつくる。家事スキルは後からでも付いてくるので、妻のキャリアに対する考え方が大事。自分のキャリアを支えてくれる夫像を持つ。

その人と結婚して自分の大事にしていることを守れるかよく考えることが大事。家事育児をやる気のない人(自称やっているが実質やっていない人を含む)と結婚すると大変。

家事育児を50%ずつ負担することが当然である、ということを十分に話し合っておくとよかった。

さらに、妻がキャリアを継続する際に重要になる「家事育児へ積極的な男性」の見極め方として、「男性の家族を見てみるのがよい」とするアドバイスが寄せられた。

配偶者の両親や親族との関係をよく観察すること。親族、母親、元彼女に対して無意識に下に見ている男性は、あなたのこともそのうち見下すようになります。

相手の実家と仲良くなって雰囲気をつかみ、自分の生き方と合っているかを見極めましょう。

ここまでアンケートの結果を紹介してきた。しかし結婚は、相手次第という面が大きい。頭で考えてうまくいくこともあるし、うまくいかないこともある。最後に、先輩方による力強い励ましのコメントを2件紹介したい。

思いもかけない相手が最高の配偶者になったので、出会いが遅くても不安にならないでほしいし、なんか違うと思う相手に対して年齢的に関係を保った方がいいとか消極的に思う必要もないし、行き遅れるよって呪いの言葉をまともに受けない胆力を持っていてほしい。

敢えてこっそりアドバイスするならば、輝いていれば30代も40代もよくモテます。金持ちだろうが、インテリだろうが、若い男であろうが、イケメンだろうが、好みで選べばいいと思います。

「子どもを持つタイミング」は早いほうがいい?

今回のアンケート回答者の多くが子どもを持つ母親である。2011年に東大ママ門を立ち上げた中野円佳が高学歴女性の出産後の葛藤について書いた『「育休世代」のジレンマ』が出版されてから、今年で10年となる。この本では、学生時代は女性であることで不利益を受けたことがないと感じていた女性が、妊娠してはじめて壁に直面する様子が描かれている。

10年経ち、男性育休が義務化されるなど変化もある。しかし、ワーキングマザーからは10年前と同じような悩みの声が上がることも多い。子どもを持つタイミングについても、当時から悩みが多いもののひとつだろう。

「子どもを持つタイミングについて、22歳の自分にアドバイスしたいことは?」との質問に対し、「欲しいなら早いほうが良い」と回答した人が55%と最多だった。なかなか授からなかったという経験談も含め、どうしても子どもが欲しいと思うならなるべく早めに妊孕性(にんようせい)のチェックや妊活の開始を勧める声が見られた。

20代でも高度不妊治療が必要なこともあります。「キャリアを積んでから」と思う気持ちもわかるけれど、本当に子どもをもちたいのであれば、それを最優先のするのが後悔が少ないと思います

欲しいと思っても案外妊娠しないので、若いうちに子どもを持つことにトライすることをおすすめします。妊娠したときが産みどきです。子どもはめちゃくちゃ可愛いですよ。

「時期は未定だが、いつかは子供は欲しい」と思っているなら、出産は早い方がいい。まだそこまで思い切れないなら、キャリアに振り切るのもあり。ただしブライダルチェックなど検査を受けて、自分とパートナーの妊孕性については調べておく方が良い。

計画通りにはいかないこともある

一方で「自然体で良い/計画しない」も27%と一定の回答があった。子どもを産むことは、自分だけで計画してもその通りにはいかない。授かったときが産み時、というのだ。

早めに子どもを産んだら後のキャリアアップが楽だし、遅く子どもを産んだら留学や海外出張・転勤が色々できる。どちらもメリット・デメリットあるので、意識的に選択するというよりは、「子供は授かり物」でいいのでは。

私の場合は不妊(結局産まれたけど)で苦労したので、ある程度プランするのもいいけど、思い通りにはならないものよってことかな。多分、東大生にはつらい経験だと思う、努力ではどうにもならないことがあるってこと。

少数派ながら、「ある程度キャリアを積んでからのほうが良い」にも7%の回答があった。ある程度仕事を学んでから子どもを持ったほうが、長い目でうまくいくという考え方だ。

若手のうちに経験すべきことは沢山あるので、ある程度仕事を学んでから子供を持った方が、長い目でうまくいくと思います

ハードワークに聞こえてしまうかもしれませんが、産む前に、一つでも「仕事が楽しい」と思える仕事を経験しておくことが重要だと思います。仕事と育児の両立は、やっぱり大変です。それに、離職を促す声も、社会/会社からいっぱい聞こえてきます。自分が、こんな大変な思いまでして、なんで仕事続けてるんだろう?と思うと、結局「仕事が好きだから」です。そういう、仕事への愛着を、産む前に形成しておくことは、重要だと思います。

いずれにおいても「子どもを持つタイミング、妊活や不妊治療など生々しい話もできる関係性をパートナーと築いていくことが大事」「出産によるキャリア中断はつらい」「リスクを考える(離婚、死別、シングルマザーになっても育てられるように)」という発言もあった。

子どもを産むことは、自分だけで計画してもその通りにはいかないこともある、ということを充分に理解しておく。子供を産まない人生になった場合に、どんな風に生きていきたいか、どんな選択肢があるのか、をパートナーとよく話し合ってイメージを膨らませておく。

若い女性たちに知っておいてほしいメッセージ

妊娠出産は自分だけで決めることができないし、計画的にコツコツと努力を重ねても、計画通りには進まないことがある。東大生をはじめ、計画的で努力家な大学生の女子たちに、知っておいてほしいメッセージである。

思い通りにいかないのは、妊娠出産だけではなく、その後の子育ても同じ。東大ママ門は同窓会組織として子育ての悩みなどを共有しており、最近は不登校や発達の遅れなどについて話し合う交流会も実施している。

そうした悩みを共有できる場をいくつか持っておいたり、必要に応じて訪ねていくこと。そんなことも、ぜひ若い女性たちには知っておいてほしい。

(この記事は東大ママ門2023年度幹事・アンケート班が記事執筆を担当した)

この記事の前編:なぜ東大女子は少ない?知られざる卒業生の本音

東大ママ門:東大卒ママの同窓組織

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