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「任天堂は落ち目だ」それでも私が全てを懸けた訳 スモールビジネスだった業界に見いだした未来

東洋経済オンライン / 2024年6月4日 10時30分

入社までのプロセスは、リクルーターとのビデオ会議から始まった。後に知ったのだが、これは録画され、NOA(Nintendo of America)のスタッフに社内で共有された。このビデオに基づいて、私はワシントンのレッドモンドにあるNOAの本部に招かれた。

ピーター・メイン(NOAの初代セールスとマーケティングのEVP)、ハワード・リンカーン(元NOAのチェアマンで、その後当時山内溥氏とNOAが株を過半数所有していた野球チーム、シアトル・マリナーズのCEOとなる)、君島達己氏(当時NOAの社長)らの過去と現行の重役たちと、丸1日かけて面接を行った。

NOAの人事部長だったフリップ・モースと、ランチを兼ねて積極的なやり取りをしていたとき、私の入社はあやうくご破算になるところだった。私が社員の研修や育成について、フリップにいくつか基本的な質問をしたのがいけなかった。

「レジー、ここではそこまでやっていない。うちは日本の会社の子会社なんだ。向こうは人材育成にあまり力を入れていない」

「ですが、フリップ」と私は切り出した。「私の意見はまったく違います。組織を伸ばして人に投資することは、基本的なことだと思います。新たなスキルを学ぼうという強い組織でなければ、新たなチャレンジに向き合うことは困難です」

こうしたやり取りがしばらく続き、私の中で大きな懸念が生じた。ここまでキャリアを積んできた私は、組織が成功する唯一の方法は、各段階で優秀な人材を置くことだと考えていた。

トップにいるリーダーが優秀なだけでは足りない。スタッフの業績を伸ばすために時間をかけて育成、研修、コーチングを行う必要があることもわかっていた。リーダーはみなこうした人的投資を行う必要がある。

続くハワード・リンカーンとの対話で、私の懸念は緩和されていった。

「レジー、もちろんNOAでは優秀なリーダーは、スタッフに対して時間とエネルギーを投資している。実際、セールスとマーケティングのEVPは、NOAでは特に重要な仕事なんだ。君にはたっぷりの裁量を与えよう。そして君の行動に組織全体の注目が集まるから、君のチーム育成への投資ぶりを見れば、それが受け入れられて会社全体に行き渡るはずだ」

レジー・フィサメィ:アメリカ任天堂元社長兼COO

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