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日本の常識が通じない小池都知事「学歴詐称疑惑」 黒木亮氏「書類に頼りすぎ。エジプトは違う」

東洋経済オンライン / 2024年6月4日 8時0分

小池百合子氏はキャスターから政治家に転身、大臣を歴任し都知事2期8年(写真:Bloomberg)

なぜ、これほどまで食い違うのか――。

東京都の小池百合子知事が都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)に3選を目指し出馬するかどうか注目されている。小池氏をめぐっては、「カイロ大学卒業」という学歴が詐称ではないかと取り沙汰されてきた。

2020年に刊行された『女帝 小池百合子』(石井妙子著、文藝春秋)では、カイロで小池氏と同居していた北原百代氏が匿名で、小池氏がカイロ大学の進級試験で落第し、卒業できずに帰国したことを具体的に証言。2023年刊行された文庫版では実名での告発に踏み切り、『月刊文藝春秋』2024年5月号で証言。メディアの取材にも応じている。

一方、小池氏は「大学が卒業を認めている。卒業を証明するのは大学」と繰り返す。

カイロへの留学経験があり、疑惑について2016〜2019年に現地で5回行った調査をもとに、『JBpress』などで複数の記事を執筆してきた作家の黒木亮氏に聞いた。

実態と乖離した記録が存在する

――取材時にカイロ大学はどのような対応でしたか。

僕が行ったときは、日本語学科長のアーデル・アミン・サーレハ氏が出てきて、「小池さんは卒業しています」と答えました。その後、複数回カイロ大学で関係者に取材した結果、大学側は「1972年入学・1976年卒業」というストーリーで小池氏に関する書類を整えているのではないかと感じました。

ところが小池氏が政治家になる前の自著『振り袖、ピラミッドを登る』(講談社、1982年)でも、『外国語をどう学んだか』(講談社現代新書、1992年)への寄稿でも、「(1年目に)落第した」と書いていますから、卒業は1977年以降でなければ辻褄が合いません。

また、小池氏とカイロで同居していた北原さんは、小池氏がカイロ大学に入学したのは1973年で、2年次に編入したと証言しています。

要は、実態と記録が乖離しているのです。

――なぜ、そのような記録が大学に存在するのでしょうか。

記録が書き換えられたとしか考えようがありません。

というのも、エジプトは汚職や不正が横行する国なのです。権力者が公的な書類を作れといえば簡単に作って出す。現地の取材では、カイロ大学に限らず、国立大学で卒業記録や卒業証明書、卒業証書の偽造が行われていることを誰も否定しませんでした。

日本人の常識では理解できない世界ですから、僕も最初の頃は戸惑いました。

書き換えの実行者や詳細な経緯を明らかにするのは、すでにかなり昔のことになってしまったので、簡単ではありません。しかし、当時卒業できていないことは、さまざまな証言や証拠を積み重ね、突き合わせていくと明らかです。

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