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リーダーに「教養」を求める企業が急増する背景 上智大学・曄道学長「教養は個性や志を育む」

東洋経済オンライン / 2024年6月6日 9時30分

新しい「学びの場」を象徴する上智大学15号館の内観(提供:上智大学)

現在、学校のみならずビジネス社会においても「教養」がブームとなっている。そもそも「教養」とは何か。なぜ「教養」が必要なのか。

3万5000部のベストセラー『読書大全』の著者・堀内勉氏が、上智大学学長で、産学協働の学びの場である「上智大学プロフェッショナル・スタディーズ」を立ち上げるなど、新たな試みに取り組んでいる曄道佳明氏に、教養と大学のあり方や社会人に対する教養教育について話を訊いた。

堀内:上智大学では、学長である曄道先生が中心となって、産学協働の学びの場を創成する新たな試みとして、「上智大学プロフェッショナル・スタディーズ」を立ち上げられました。最初に、この新たな試みの背景として、現在の大学教育の問題点や、今なぜ教養教育が求められるのかといったお話からお聞かせいただけませんでしょうか。

曄道:プロフェッショナル・スタディーズという、教養講座を通じて、ビジネスの前線で活躍されている方々に対して、「学びの場」を提供することが必要だと感じたのは、現在の大学教育のあり方に疑問を感じたことが大きな理由です。上智大学も例外ではありませんが、教養科目の単位というのは大学の1年生で多くを取って、2年生の前半ぐらいまでにだいたい取り終えてしまうことが多い。

大学の1年生という、高校を卒業したばかりの学生たちが教養教育的な科目群を学ぶとなると、だいたいその科目群は「○○入門」的な内容になっているケースがほとんどです。そもそもそれが教養科目のあり方としてよいのかということを疑問に思っていました。

大学に戻って「教養」を学びたい

それとは別に、様々な企業や国際機関のトップの方たちと話をしていると、多くの方たちが、また大学に戻って勉強したいと言う。最初は、私が大学の人間なので社交辞令かと思ったのですが、皆さんそうおっしゃるし、何を学びたいのかと尋ねると、歴史や哲学、上智の場合だったら宗教を学びたいとおっしゃるんですね。

そのような考えを持つに至ったのは、おそらく、経営の最前線に立って、上位の意志決定や経営手腕を発揮される際に、教養が問われる場面を数多く経験されたからだと思います。大学時代の初期に教養教育ですといって入門的な講義を履修し、その後の専門課程では教養的なものに触れることがほとんどないまま社会に出て20年、30年が経ち、いよいよ経営の中枢に、となったとき、はたと教養の必要性が感じられる。こうした声を多く耳にして、日本の社会における「教養の空白期」の問題に向き合わなければと思うようになりました。

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