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湖西線、関西と北陸結ぶ「大動脈」開通50年の転機 京都鉄道博物館は記念の「レア企画」で盛り上げ

東洋経済オンライン / 2024年6月6日 6時30分

湖西線の天敵が比良(ひら)山地から琵琶湖へ吹き下ろす「比良おろし」。JR西日本は防風柵の設置などの対策を進めているが、強風による運転見合わせや遅れがしばしば発生する。2023年公開の映画『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』でもいじられるほど、滋賀県民にとってはあるあるネタだ。サンダーバードは米原経由で運行することもある。

開通50周年を巡っては滋賀県、大津市、高島市、長浜市で構成する湖西線利便性向上プロジェクト推進協議会とJR西日本によってさまざまな記念企画が発表されている。例えば、7月20日にはラッピング車両「びわこおおつ紫式部とれいん」を使用した記念列車を運行。乗客は「一般枠」「滋賀県民枠」「福井県民枠」それぞれから募集する。

湖西線開通50周年記念イベントの主要な舞台の1つが、京都鉄道博物館(京都市下京区)。6月8日~11日には「521系0番台」(クハ520形4号車・クモハ521形4号車)を本館1階で特別展示する。湖西線ゆかりの収蔵車両「クハ117形1号車」「オハ25形551号車」と並べることにしており、JRの営業路線とつながった引き込み線を活用できる京都鉄博ならではの演出といえる。

また、京都鉄博は7月18日には湖西線をテーマにした「おとなの学び講座」を開催。担当学芸員の廣田琢也さんによると「関西と北陸を結ぶバイパス路線として誕生した同線の現状や、元になった江若(こうじゃく)鉄道からつながる歴史、江若鉄道の廃線跡の状況などを紹介する」という。

江若鉄道は1921年開業の鉄道会社で、1931年に浜大津―近江今津間が全通した。1969年に湖西線建設に伴って廃止。路盤の一部が湖西線に転用された。現在は京阪グループのバス会社、江若交通にその名を残している。

京都鉄博で記念企画

おとなの学び講座は毎回テーマを変えて月に1回ほど開催している。京都鉄博の前田昌裕館長は「当館にはお子さま向けのイベントがたくさんがあるが、大人のお客さまに普段研究しているテーマを解説することは学芸員のレベルアップにもつながる」と語る。湖西線については「開通後しばらくしてから乗りに行った思い出がある。もう50年も経つのか」と感慨深げだった。

7月21日までは本館3階ギャラリーで、50年前の開通当時の様子などがわかる収蔵写真展を開催。担当する学芸員の久保奈緒子さんは「1970年に走り始めた新快速が湖西線に乗り入れ、特急などの優等列車も京阪神と北陸を短絡することで現在の琵琶湖線の逼迫していた交通量が緩和された」と説明する。

湖西線を走る急行「立山」といった象徴的な写真を選んで展示したという。久保さんは「江若鉄道の当時を知る年配の方に懐かしんでもらい、若い方には昔の湖西線にはこんな電車があったのか、と見ていただければ」と話していた。

沿線自治体は北陸新幹線敦賀延伸を地域活性化につなげたい考えだ。京都駅からも1本の電車で行ける風光明媚な琵琶湖西岸に観光客を呼び込むことができれば、京都市内のオーバーツーリズムの緩和にもつながる。開通50周年記念イベントは湖西線に改めて注目を集める絶好の機会になりそうだ。

橋村 季真:東洋経済 記者

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