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「子どもの近視」は大人が想像する以上に深刻だ 「視力が1.0未満の割合が過去最高」の衝撃

東洋経済オンライン / 2024年6月8日 15時0分

最新の研究では、一度伸びた眼軸が場合によっては短くなる可能性が報告され始めてはいます。ただ現状では、身長と同じで、一度伸びると短くなることはほとんどないというのが一般的な認識です。目の成長期は20歳くらいまで続きます。最終的にはどこまで伸びてしまうのでしょうか。

この2つの調査結果は、子どもたちの目に大きな変化が起きていることを物語っています。

ちなみに2022年調査では、中学3年生でメガネやコンタクトレンズをしている子の割合は男子で4割、女子で5割にも上っています。

目はもともと、近くも遠くもくっきり見えるようにとても精密にプログラムされています。それなのに、どうしてこんなことが起きてしまうのでしょうか。

プログラムを狂わせるのが、今の近視化しやすい環境です。

野生で生きる猫は遠くがよく見えます。それに対して、家の中で飼っている猫は決まって近視になっています。近くのものばかりを見るようになっているためです。野生で生きる猫が近視だったら、エサを見つけられないし、見つけてもつかまえられません。しかし、家猫は、そんなことは必要がないわけです。このような、近くを見る作業のことを、近見作業といいます。

人間も同じです。現代の暮らしで近見作業が増えたことで、生来のプログラムが狂い、近視になりやすくなっているのです。大人になってからも油断できませんが、とくに「目の成長期」に、近くのものばかり見ていることの影響ははかりしれません。

背景の一つには、小さいころからスマートフォンやタブレットを使い始める影響が指摘されています。日本でも、国の「GIGAスクール構想」のもと、全国の公立小・中学校に通う子どもたちに情報端末が一人1台配備されました。

また、新型コロナウイルスの感染拡大で、家の中でスマホなどを見て過ごす時間がさらに増えたことが、近視の増加を加速したともいわれています。

屋内での近見作業はとりわけ目に良くない

近見作業は目にとって大敵ですが、それが屋内での近見作業だと、さらに良くありません。

室内にいると、よほど大きな部屋でもないかぎり、遠くを見ることはなくなります。しかも、自然光は窓ガラスというフィルターにかけられ、光の量が制限されます。さらには間接照明といった、自然光とは異なる波長の光も目に入ってきてしまいます。これが子どもの目には良くないといわれています。光の量と質が悪いという言い方もできるでしょう。

以前から動物実験では、強い光の下で飼ったほうが、弱い光で飼うより近視になりにくいことが示唆されていました。最近では、それは学童期の子どもにもあてはまることがわかり始めていますし、最新の研究では大人にもあてはまることがわかってきています。

窪田 良:医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

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