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「カルチャー帝国」築く高級ブランドのしたたかさ ルイ・ヴィトンの「衝撃人事」が示す異変とは?

東洋経済オンライン / 2024年6月9日 8時0分

最近のパリやミラノのコレクション会場の外には、ファッションブランドのファンというよりむしろ、アンバサダーとなったタレントのファンが詰めかける。彼らがSNSに上げる写真を通して、タレントが着用するブランドの商品イメージも拡散されるのだ。

エンタメ業界へのアプローチはそれだけにとどまらない。フランスのラグジュアリー・コングロマリットであるケリングは独自のエンターテインメント・メディアを持とうとしている。

ケリングは傘下にグッチ、バレンシアガ、アレキサンダー・マックイーン、ボッテガ・ヴェネタなど高級ファッションブランドを持つが、その中の1つ、サンローランが独自の映画プロダクションを設立した。ファッションブランドが本格的な映画制作を行うのは初めてのこと。

このようにファッションブランドは今、アート、テクノロジー、ポップカルチャー、エンターテインメント、メディアと融合し、世界のあり方に大きな影響を及ぼす文化的ブランドを目指し、成長を続けている。

「文化」を飲み込み、生み出す巨大資本

巨大資本が創出するそのような文化に抵抗するファッションブランドも少なくない。

イタリアのカジュアルブランド、ディーゼルは世界初となるコミュニティーハブ「ディーゼル・スタジオ」を東京・銀座に期間限定で作り、東京のローカルなカルチャーを発信。

また、2024年秋冬ショーでは会場の巨大モニターに、1000人のディーゼルファンを映し出した。各自の個性を生かしたコーディネートを披露する光景は反響を呼んだ。ローカルで多様な個性の集積がディーゼルのコミュニティーを創り、ブランド独自の文化を築くことを目指している。

もともとファッションはカルチャーと不可分であったとはいえ、現在、ファッションを生み出すプレイヤー側の文化的な影響力は、資本の力を得てますます大きくなっている。こうした力が、私たちの価値観にどのような影響を与えているのかを自覚しておきたい。

そのうえで、私たちはどうありたいのか、どんなコミュニティーを創り、どのような文化を育てていきたいのかを、今こそ「静かに」考えたい。

中野 香織:服飾史家

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