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オペラって何?400年の歴史を5分で解説!前編 「オペラ大図鑑」でたどるオペラの壮大な歴史

東洋経済オンライン / 2024年6月9日 18時0分

オペラは物語もまた重要だ。楽曲はスタジオで録音されたり、コンサート形式で演奏されたりするが、何よりもオペラはまず音楽劇、つまり舞台上演のための台本(リブレット)に合わせた音楽として生まれた。確かに、ほとんどの人はオペラを作曲家の名前で記憶しているが、どんなに偉大な作曲家でも、つねに優れた台本を重視してきた。

台本はギリシア神話やローマの歴史を題材にすることもあれば、シェイクスピアやシラーの戯曲、歴史的事件やロマンティックなドラマ、日常の喜劇的なできごとを題材にすることもある。作曲家はこうしたさまざまな人間ドラマの要素を取り入れて創作する。こうしてできたオペラの傑作は暴力、強欲、野望、陰謀、裏切り、和解、死がテーマとなる場合もあるが、ユーモア、喜び、情熱、愛によって形作られている場合もある。

思い入れの強い大衆

音楽と台本は、ソリストたちと合唱の歌声、オーケストラの伴奏と舞台装置や演出によってオペラとなる。これらすべてがうまく融合したとき、オペラの創り手たちは満足感を覚える。だが当然ながら、創り手の多くはすでにこの世にいない。代わりにオペラを評価する役割を担うのは大衆だ。そのなかにはオペラをまだよく知らない人もいれば、数多くの上演を観てきた経験豊かな人もいて、誰もが熱い情熱をオペラに注いでいる。確かに、盛大な喝采やブーイングで審判を下すこともあるが、それはオペラへの強い思い入れが聴衆にはあるからだ。

それでも、オペラなら全部好きだというオペラ愛好家はめったにいない。実際、まるで宗派のように特定の作曲家を崇拝したり見下したりする。たとえばヴァーグナー愛好家はカルト宗教の信者にも似ている。また、ヴェルディのドラマティックなオペラが好きな人もいれば、ベッリーニなどの「ベルカント」が好きな人もいる。ロシアやチェコの聴衆は自国のオペラに強い忠誠心を抱き、フランスの聴衆はバロック・オペラの復興を先導してきた。

同時に、かつてサミュエル・ジョンソンから「異国的でばかげた芸能」と揶揄されたオペラだが、つねに転向者を迎え入れてきた。この点で、華やかなスターの存在が果たす役割は大きい。たとえマリア・カラスのような超弩級のディーヴァ(オペラ界で卓越した存在の女性歌手)がいなくなっても、スターは生まれ続ける。エリーナ・ガランチャやフアン・ディエゴ・フローレスが看板に名を連ねれば、売り切れは確実だ。

「三大テノール」のようなイベントもまた新たなファンの拡大に成功した。こうしたニーズを満たすため、オペラハウスは改修され、新設されている。オペラ・フェスティヴァルが次々と開催され、広場や公園でスクリーン上映されるライヴ上演に大勢の観客が集まる。誕生から4世紀たった今もオペラの人気は衰えることがない。

オペラの始まり

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