日本株復活のカギは円安でなく円高かもしれない MSCIでの日本株比率は1995年の5分の1まで激減
東洋経済オンライン / 2024年6月9日 9時30分
正確には「MSCI All Country World Index」、通称「MSCI ACWI(アクウィ)」という。先進国23カ国と新興国24カ国の大型株&中型株 で構成されており、簡単に言えば、新NISA(少額投資非課税制度)で人気の「全世界株式オールカントリー」に似たインデックスだ。
このMSCI指数の定期見直しは2、5、8、11月の年4回実施。各回とも月の中旬をメドに発表、月末に入れ替えが行われる。直近は5月末に実施されたわけだが、日本株では新規採用がアシックス1銘柄のみだった。
一方、除外はシャープ、清水建設、小田急電鉄など計15銘柄に及んだ。さらに浮動株比率(FIF)を基準とする変更で17銘柄、運用株数変更も48銘柄もあった。こうした一連の見直しに伴うリバランス売買に伴って、日本株から1664億円の純資金流出が起きたとされている。売却した主体はこのMSCI ACWI指数をベンチマークに運用をしているブラックロックなどの大手ファンドだと推定される。
MSCI指数における日本株の組み入れ比率を見ると、1995年の4月末には25%もあったが、直近の2024年5月末ではわずか5%と5分の1に減少。銘柄数で見ても2007年末のピーク時は398銘柄あったが、今年6月1日現在では約半分の203銘柄まで減少している。
MSCI定期見直し後の日本株からの資金流出額は、コロナ禍以降に一段と進んでいる。一番大きかったのが、3年前の2021年5月末時の入れ替えだ。新規組み入れはゼロのいっぽう、29銘柄が除外された結果、5100億円(月換算では約10兆円)の純資金流出となった。次に大きかったのは、2021年11月末時。新規組み入れはわずか2銘柄で15銘柄が除外され、やはり1975億円(月換算約4兆円)の純資金流出となった。
日経平均などの変動については、直接的にはパッシブ運用者(ベンチマークに連動した運用成果を目指すファンドなど)によって影響を受けるとされる。
だが、実は「アクティブ運用からの売り」も大きな影響力を持つのだ。アクティブ運用をするファンドやアナリストも、MSCIの定期見直しを警戒している。
こうした傾向は、MSCIインデックスから除外される銘柄に、海外のヘッジファンドなどによる売りが入り、株価が大幅下落したことが2021年に起こり、それがトラウマとしてあるためだ。
日本株上昇に必要な「MSCIでの比率上昇」と「円高」
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