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中国新興EV「理想汽車」に株主が集団訴訟の背景 達成不能な目標開示し、株価下落で損害と主張

東洋経済オンライン / 2024年6月10日 15時0分

理想汽車は3月1日に投入した高級ミニバン「MEGA」の販売が振るわず、わずか3週間で販売目標の下方修正に追い込まれた(写真は同社ウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカー、理想汽車(リ・オート)の株主の一部が、同社の虚偽の情報開示により損失を被ったとして、アメリカの裁判所に集団訴訟(クラスアクション)を提起したことが明らかになった。

【写真】理想汽車が中国の主要都市で建設を進める直営充電ステーション(理想汽車のウェブサイトより)

原告側の主張によれば、理想汽車は2024年3月1日に発売した新型高級ミニバン「MEGA」の販売目標を、当初から達成不能と認識していながら過大に設定して発表した。この虚偽情報により株主の投資判断を誤らせたことが、詐欺に該当すると訴えている。

中国・北京市に事務所を構える郝俊波弁護士が5月15日、集団訴訟の代理人として上述の情報を公表した。郝弁護士は、集団訴訟の提起を広く知らしめることで、さらに多くの株主が参加することを期待している。

(訳注:理想汽車はアメリカのナスダックに上場しており、株主らは同種の集団訴訟が一般的なアメリカでの訴訟を選んだとみられる)

発売から3週間で下方修正

理想汽車の創業者でCEO(最高経営責任者)の李想氏は2024年初め、同年の目標販売台数を前年実績の2倍以上の80万台とする強気の計画を発表。問題のMEGAに関しては、月販8000台の目標を掲げた。

しかし中国の業界関係者の多くは、この目標を現実離れしていると見ていた。ミニバンはもともとニッチなカテゴリーであり、まして高級車ならば販売台数はさらに限られるからだ。

MEGAのメーカー希望価格は、発売時点では55万9800元(約1205万円)からに設定された。だが、同価格帯の高級ミニバンで最も売れているトヨタの「アルファード」でも、(中国市場での)年間販売台数は2万台に満たない。

結局、MEGAの発売後の販売実績は目標を大幅に下回った。理想汽車は3月21日、2024年1~3月期および通年の販売目標の下方修正を発表。この約3週間に、同社の株価は約3割も下落した。

今回の集団訴訟の参加対象は、理想汽車の株式を2024年2月26日から3月20日の期間に保有していた株主となっている。

同社は2月26日に2023年の通期決算を発表した際、2024年1~3月期の販売目標を開示した。それを3月21日に下方修正したため、その間の株式保有者が虚偽情報による損失を被ったとみなしている格好だ。

郝弁護士の見解によれば、理想汽車はMEGAの発売にあたって市場の需要と自社の経営戦略を誇大に宣伝しており、(2月26日に開示した)1~3月期の販売目標はそもそも達成不能な数字だったという。

会社側は「根拠なし」と反論

集団訴訟を提起した株主は、理想汽車の虚偽の情報開示や(経営陣の)誤解を招く発言などが原因で生じた株価下落による損失の賠償を、同社に対して求めている。

一方、理想汽車は財新記者の取材に対して、集団訴訟を提起された事実を認めた。しかし原告側の主張には根拠がないとしており、「わが社は会社と株主の利益を守るために最善を尽くす」とコメントした。

なお、同社は販売目標を下方修正した後、MEGAの販売戦略を全面的に見直した。営業のターゲットを高級ミニバンの購入力を持つ都市部のコアなユーザーに絞るとともに、(充電ステーション不足への潜在顧客の不安を和らげるため)中国の主要都市で直営の充電ステーションの建設を加速するとしている。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は5月16日

財新 Biz&Tech

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