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救急車「不適正利用」解決に"利用料"徴収はありか 「入院しない軽症者の搬送7700円」始めた地域も

東洋経済オンライン / 2024年6月10日 17時30分

「寂しいから話し相手になってほしい」と119番する高齢者もいるそうです(写真:teresa/PIXTA)

過去最多を更新した救急出動件数

総務省消防庁によると、2023年の救急出動件数(速報値)は前年に比べ5.6%増の763万7967件、搬送人数は同6.8%増の663万9959人となり、過去最多を更新した。

【写真で見る】救急搬送問題の救世主、2016年6月に発足した救急機動部隊。消防署所属の救急隊とはユニフォームの色が違う

高齢化で救急ニーズが高まるなかで、まるでタクシー代わりにする不適正事例もある。過去、救急車有料化の議論もあったが、課題が多く実現していない。

そうしたなか、東京都では消防署に属さない救急車も登場し、急増する救急ニーズを支えている。そこには直視しなければならない高齢化社会の救急の現実があった。

まずは、全国の救急出動と搬送人数の過去の推移を見ていこう。

これらは新型コロナウイルス感染症が流行しはじめた2020年に減少したものの、コロナ禍になると急増している(※外部配信先ではイラストを閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。

病気やケガの程度の割合を見ると、入院を必要としない軽症が48.4%で、入院が必要な中等症が42.9%となり、ともに4割を超えた

一方で、3週間以上の入院が必要な重症が7.2%で、死亡が1.3%だ。

総務省消防庁は、軽症者の救急車利用を減らして、重症者に優先的に回そうと、病気やケガで救急車を呼ぶかどうか迷ったときに看護師や相談員などからアドバイスを受けられる電話相談窓口「#7119」の認知向上に向けた広報活動に注力している。

高齢者の救急搬送が6割超に

ここに来て比率が高まっているのが、高齢者の救急搬送だ。65歳以上が全体の6割(61.6%)に達している。10年前は5割台(54.3%)、20年前は4割台(41.4%)だった。

総務省消防庁の2023年度「救急業務のあり方に関する検討会」で座長を務めた有賀徹氏(独立行政法人労働者健康安全機構顧問)は、こう話す。

「今後、さらに問題になるのは高齢単身者の増加。患者の基礎疾患(持病)や合併症などの情報が把握しにくくなるため、救急隊員は患者の情報の取得に苦労し、結果的に時間を要することになる」

東京消防庁管内では、特別区災害救急情報センター(23区)と、多摩災害救急情報センター(多摩地区)の2カ所に救急要請が入る。それを受けて、GPS(全地球測位システム)で管理された救急車の位置情報を基に、救急現場に最も近い救急隊を出動させる。

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