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米ファンド強気、金利高でも国内不動産は「買い」 ブラックストーン橘田代表「日本は米国と違う」

東洋経済オンライン / 2024年6月11日 7時30分

――2021年に、近鉄グループホールディングスから「都ホテル 京都八条」を含むホテル8棟計2294室を取得しました。その後の進捗は。

京都八条は2023年8月に全面改装を終えた。宿泊単価は好調で、宴会やレストランの需要は非常に強くなってきた。主要顧客である日本人の団体旅行が戻れば稼働率がさらに上昇し、コロナ禍前よりも高いパフォーマンスになるだろう。

日本のホテルは「インバウンドで盛り上がっているだけだ」とよくいわれるが、すべての施設が同じというわけではない。京都のホテルはラグジュアリーの価格帯が絶好調で、ゴールデンウィーク期間は宿泊単価が40万円に達した部屋もあった。

反面、中~低価格帯は課題に直面している。1室あたり2名利用でも2万円に届かない。特に低価格帯は供給過多で、ようやくコロナ禍前の水準を超えた程度だ。大阪でも低価格帯はやや軟調だ。一方で、東京はホテルの供給が多いにもかかわらず、観光客の人数も多いため需給が緩む事態にはなっていない。キャッシュフローに改善余地のあるホテルは、今後も取得していきたい。

――ホテル以外で着目している案件は。

CRE(事業会社が保有する不動産)だ。これまでは資金繰りの観点から売却せざるを得なかった案件が多かったが、今後は資産効率を重視した戦略的な売却が増えてくるだろう。

アクティビスト(モノ言う株主)は日本企業に対して、企業価値向上を目的に不動産などの資産の売却を促している。この場合は通常の物件売買とは異なり、売却スキームの構築が重要だ。持ち分の一部を引き続き保有してもらったり、売却で得た現金を特別配当ではなく成長投資に回したりする方法も一緒に提案している。不動産の受け皿になるだけでなく、事業会社に価値向上につながる方策を一緒に提案する機会が増えている。

米国市場は底を打った

――他方で、ブラックストーンが運用するアメリカのREITは、一時は換金制限がかかるほど、投資家からの解約請求があると報じられました。

現地メディアはフローばかりを取り上げているが、最終的に重要なのはパフォーマンスだ。われわれのアメリカのプライベート不動産戦略は、2017年の導入以来、上場REITの2倍の年率リターンを実現している。REITの買い戻し請求についても完済した。投資家への長期的な価値を最大化しながら最大限の流動性をもたらすという目的を、立ち上げの当初から意図していた通りに果たしている。

CREに関してネガティブな報道もあるが、2022年以降200億ドル(約3兆円)を超える物件の売却も行えるなど、われわれのポートフォリオには強みがある。マーケットが軟調な中でも、この売却から40億ドル(約6000億円)を超える利益を出すことができた。

不動産価格は底を打ったと思われるが、何より重要なのはどこに投資するかだ。4月に訪れたサンフランシスコではオフィスに人が戻り始め、売買事例も少しずつ出てきている。もちろん、回復度合いは物件ごとに濃淡がある。ニューヨークの場合、多くの金融機関が集まる42~50番街のオフィスなら、空室率は10%前後。スタートアップやIT企業が集積する数字の小さい街区は、20%程度といった具合だ。学生寮やデータセンターなど、ポテンシャルのある物件にも投資していく。

一井 純:東洋経済 記者

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