アップルがAI競争に参戦する「とっておきの武器」 年次開発者イベント「WWDC24」でついに明らかに
東洋経済オンライン / 2024年6月11日 15時0分
さらに複雑な処理を行うためには、「Private Cloud Compute」(プライベートクラウドコンピュート)と言われる仕組みも用意した。
個人の情報を公に記録されない形でクラウドで処理し、デバイスで利用することができるようになる。この点も、データを預けなければならない他社製のAIとの、アップル流の違いを強調した。
画像の生成にも力を入れる。自分のオリジナル絵文字を生成する「Genmoji」は、ユーザーのリクエストに応えるAI活用だ。
またワープロやプレゼンソフト、メモアプリでは、ラフなスケッチから画像を生成するImage Playground(イメージ・プレイグラウンド)は、プロンプトと呼ばれる、画像生成に必要なテクニックに対して、わかりやすい操作方法を提供している。
例えば「どんな使い方」ができる?
アップルインテリジェンスのプレゼンテーションでは、いくつかのユースケースが示されていたが、それらを参考に、どんなことができるのかを考えてみた。
例えば、海外から帰ってくる家族から「迎えに来られる? どうやって空港まで来る?」とメールで聞かれたとする。
アップルインテリジェンスは、このメールの中身を分析し、迎えに行けるかどうか、空港までの移動方法の選択肢を選ぶだけで返信メールが作成できるスマートリプライが実現できる。
Siriに「家族は何時に空港に着くの?」と聞くと、過去のメールから家族が乗り込む飛行機の便名を確認し、その飛行機のリアルタイムデータを参照し、答えてくれる。続けて、「何時に家を出ればいいの?」と尋ねると、その文脈を引き継いで経路検索をし、出発時刻を教えてくれる。
また写真アプリで、「京都で白いシャツを着ていたときのビデオ」と調べると、その通りの動画が出てくる。
これらは非常にさりげないことのように思えるのだが、実際どうなのだろうか。
プライバシー問題が重要な理由
この時点で、既存の(フェデリギの言葉では「古典的な」)チャットでの生成AI利用では、非現実的かもしれない。その理由が、アップルがことあるごとに強調し、今回のアップルインテリジェンスでも重要な差別化要因として採用している「プライバシー」問題にある。
先の例を考えてみると、まず準備として、チャットに自分のメールの山を読み込ませる必要がある。また、そもそもの話として、「誰が家族なのか?」を知らせる必要もあるだろうし、自分の今日の予定や、住んでいる住所もまた、AIに伝える必要がある。
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