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「生保業界のビッグモーター」にすり寄る生保 生保による過剰な便宜供与と利益供与が復活

東洋経済オンライン / 2024年6月11日 20時30分

保険会社からFPパートナーへの紹介は、募集人だけではない。「リーズ」と呼ばれる保険契約の見込み客も、FPパートナーにせっせと無償で紹介している。FPパートナーによると、保険会社からのリーズ提供は「月1500件程度」(経営企画部)あるという。

リーズ提供は「はなさく(生命保険、以下同)、チューリッヒ、メディケア、アフラック、オリックスあたりが多い。各社ともホームページなどを通じて資料請求してきた人を、見込み客として紹介している」とFPパートナーの関係者は明かす。

見込み客の情報を1件1万1000円で販売

紹介を受けた見込み客の情報は、FPパートナーが自社の募集人に何と1件1万1000円で販売。それだけで同社には年間数億円の販売収入がある計算だ。リーズの販売収入は「売上原価から差し引く形で計上している」(経営企画部)のだという。

では、保険会社はなぜここまで、過剰ともいえる便宜供与を図っているのか。

それはひとえに、便宜供与の見返りとして、FPパートナーに自社の保険商品を優先的に取り扱ってもらいたいからにほかならない。

事故車を旧ビッグモーターに紹介する見返りとして保険契約を割り振られていた大手損害保険各社と、構図は同じだ。それが、生保業界のビッグモーターと呼ばれるゆえんでもある。

「便宜供与を超えて、利益供与だ」と金融庁幹部

便宜供与はそれだけではない。FPパートナーの内部資料によると、アフラックから年間9000万円超、ひまわり生命から6000万円を、広告料として過年度に受け取っている。FPパートナーが運営する、マネードクターのウェブサイトと店舗(5月末で27店舗)のサイネージボードに掲載する広告の料金というが、はたして相場に見合ったものなのか。

参考として、首都圏のターミナル駅構内にあるサイネージボードに広告を表示する費用は、年間で1億円近くとされている。それと同等の広告効果がマネードクターのサイトと店舗に本当にあるのか。「便宜供与を超えて、利益供与だ」と金融庁の幹部は眉をひそめる。

FPパートナーの関係者によると、ひまわり生命はFPパートナーが上場した直後の2022年秋、出資の打診をしているといい、あの手この手での経営支援に余念がないようだ。

FPパートナーが、そうした生保からの各種支援実績を踏まえて、顧客に推奨する保険を決めているとすれば、顧客本位とは程遠い。1億円近い広告費を払っているアフラックの保険を販売すると、FPパートナーの社内表彰上の評価において、獲得保険料が「3倍でカウントされるようになっている」(FPパートナー関係者)。アフラックの保険を強力に勧める動機づけになっているようだ。

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