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中国新興EV「理想汽車」、追随値下げで営業赤字に 過当競争に巻き込まれ、利益重視を維持できず

東洋経済オンライン / 2024年6月12日 17時0分

理想汽車は2023年に通期黒字化を達成したのもつかの間、厳しい試練に直面している(写真は同社ウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車(リ・オート)は5月20日、2024年1~3月期の決算を発表した。EVの販売台数が8万400台と前年同期比52.9%増加したことにより、1~3月期の売上高は同36.4%増の256億元(約5519億円)に達した。

【写真】理想汽車が自社運営する充電ステーション(同社ウェブサイトより)

理想汽車は創業当初から利益率を重視し、高級ブランドのイメージ作りに注力してきた。その結果、2023年には中国の新興メーカー群の先頭を切って通期純損益の黒字化を実現した。

ところが今、同社の経営は厳しい試練に直面している。1~3月期の調整後純損益は13億元(約280億円)の黒字だったものの、本業のもうけを示す営業損益が5億8000万元(約125億円)の赤字に転落したのだ。

経営の迷走ぶりが露呈

理想汽車の営業損益は、直前の2023年10~12月期は30億元(約647億円)の黒字だった。そこから大幅減益となった主因は、中国EV市場の激しい価格競争に巻き込まれたことだ。2024年1~3月期には、市場シェア首位の比亜迪(BYD)や第2位のテスラが値下げに踏み切り、理想汽車も(顧客離れを防ぐために)追随を余儀なくされた。

同社は新ジャンルの高級ミニバン「MEGA」を3月1日に発売するまで、価格競争には消極的な姿勢をとっていた。しかしMEGAの販売は振るわず、3週間後の3月21日に2024年1~3月期と通年の販売目標の下方修正を発表した。

さらに4月18日、理想汽車は新型SUV「L6」を発売。ところが、わずか4日後の4月22日にL6を除く全車種の大幅値下げを発表するなど、経営の迷走ぶりが露呈した。

理想汽車はもともと、2024年を成長加速の「ビッグイヤー」と位置づけ、MEGAとL6に加えて3車種の新型EVの発売を予定していた。

しかし、同社の創業者で董事長兼CEO(会長兼最高経営責任者)の李想氏は、これら3車種の発売を2025年に延期したことを決算説明会で明らかにした。

「現在の市場環境下で高価格帯のEVを売るには、(充電に関する顧客の不安を和らげるために)十分な数の急速充電装置を自社で整備することが必要だ」

李想氏はそう述べ、(自社運営の充電ステーション設置で先行する)テスラに近い水準まで急速充電装置の数を増やしたうえで、新型車を市場に投入する考えを示した。

大規模な人員カットの噂も

理想汽車のプロダクトライン開発を統括する劉傑氏は、4月下旬に開催された北京モーターショーで、同社の以前の成長戦略が楽観的過ぎたと認める発言をした。

業界関係者の間には最近、理想汽車が組織の再編と比較的大規模な人員カットを実施したとの噂が流れている。

「組織再編の狙いは、マネジメント・チームの質を高めて業務効率を改善することにある」

経営トップの李想氏は決算説明会でそう述べたが、人員カットに関しては直接の言及を避けた。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は5月21日

財新 Biz&Tech

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