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グリコ、一部出荷再開も「プリン」おあずけのなぜ アーモンド効果や牛乳は再開、業績の影響は?

東洋経済オンライン / 2024年6月12日 7時20分

ようやくの出荷再開だが、「プッチンプリン」の復活はまだ先になる(写真:グリコ)

店頭で「プッチンプリン」が見られるのは、いつになるのか——。

【図表で見る】売り場に戻ってくる商品の一覧はこちら

菓子大手の江崎グリコは6月11日、システム障害に伴い4月から出荷を停止していたチルド商品の一部について、6月25日以降に再開すると発表した。

現在出荷停止中なのは、チルド商品の17ブランド・82品目とグリコが販売を受託しているキリンビバレッジの紙パック商品37品目だ。このうち「アーモンド効果」など自社の6ブランド25品目と「トロピカーナ 100%」などキリンビバレッジの28品目の出荷が順次再開される。

まずはこれらの商品の安定供給を最優先し、ほかの出荷停止中の商品については、準備が整い次第再開していく方針だ。

システム改修、仕様も変更し対応

ことの発端は4月3日。グリコが基幹システムを切り替えた際に障害が発生し、一部の受発注、出荷業務に影響が出た。18日には一部業務を再開したものの、システム処理が間に合わず、システム上の在庫数と実際の在庫数が異なるなどデータの不整合が起きた。これ以降、現在まで出荷停止が続いている。

グリコは再開のメドを5月中旬としていたが、安定供給に向けて万全の体制を整えるとして、6月中へと延期していた。

グリコは出荷再開に向け、データ不整合の要因を洗い出し、在庫数のずれが起こりにくいようにシステムを改修。また、万一不整合が起きてもすぐに修正できるよう、システムの仕様を一部変更した。

さらに、オペレーションの見直しや物流倉庫内における現場テストも実施。6月25日以降再開する一部商品について安定供給のメドが立った。

今回「アーモンド効果」が再開の対象となったのは、賞味期限が長いからだ。ほかのチルド商品と比べて長期間在庫を持てるため、再開後に想定を上回る受注があったとしても、欠品するリスクは低い。

一方、「グリコ牛乳」などの日配品も対象となった。賞味期限の短い牛乳が再開される背景には、原料である生乳の調達における事情がある。

生乳の調達量は各メーカーが自由に決定できるわけではなく、業界団体が割り振る仕組みだ。出荷停止による生乳の廃棄を避けるために、グリコに対する生乳の振り分け量は減っていた。

こうした状況が続けば、同社の調達量は慢性的に減らされかねない。今後も生乳を安定的に調達する狙いから、出荷再開のラインナップに牛乳が入ったというわけだ。

しかし、主力商品の「プッチンプリン」や「BifiX」ヨーグルトについて、グリコ広報は「出荷時期は明示できない」としている。これらの商品は賞味期限が短いうえに発注量は多い。物量の見通しがつきにくいのだ。いまだ安定供給の準備が整ったとはいえず、再開はまだ先になる。

「売り上げの大きい商品から再開する考え方もあるだろうが、今回は安定供給を最優先した」(グリコ広報)。

さらなる業績下押しの懸念も…

システム障害による影響額は売上高で200億円、営業利益で60億円を見込んでいる。このため、グリコは5月に2024年12月期の通期業績予想を下方修正した。

再開のメドが立たないプッチンプリンやBifiXなどの商品は「乳業事業」セグメントに含まれる。同セグメントは期初に営業利益6億円を見込んでいたが、下方修正で33億円の赤字に転落する見通しだ。

業績のさらなる下押しも懸念される。小売店にはすでに競合メーカーの商品が並び、棚を取り戻すには一定の時間が必要だ。人件費など危機対応の費用や、キリンビバレッジに対する補償金の発生なども予想される。

システム障害を再発させずに出荷を再開し、安定供給を実現できるか。グリコの正念場はまだ続きそうだ。

田口 遥:東洋経済 記者

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