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「怪しい数字」にまんまと騙される人に欠けた視点 「数字は嘘をつかない」と「信頼できる」は別問題

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 10時0分

すなわち、不快指数とは気温と湿度という2つの数字で決まるものであることがわかります。しかしそれは裏を返せば、気温と湿度以外のものはまったく考慮されていない数値であるということです。

たとえば、気温や湿度が高かったとしても、心地よい風が強く吹いていたらどうでしょうか。不快どころか、「過ごしやすい」と感じる人もいるかもしれません。

つまり、不快指数が高いからといって不快だ(過ごしにくい1日だ)と決めつけるのは早計ということになります。

これもまた少しばかりひねくれた視点と思われる方もいるかもしれません。しかし数字に騙されることを回避するためには、これくらいひねくれた視点を持ってちょうどよいと考えています。

不快指数以外の例も挙げて考えてみましょう。ビジネスでよく使う数字として、在庫回転率という数字があります。小売業などでは馴染みがある数字です。

「最近は在庫回転率がいい。在庫数の管理はうまくいっている」

このようなもっともらしい発言ほど、騙されやすいものです。もしこのような発言を聞いても鵜呑みにしてはいけません。

まずは在庫回転率の定義を確認します。一般的な定義は次のとおりです。

在庫回転率

一定期間内に在庫がどの程度入れ替わったかを示す指標。一般的には金額ベースと個数ベースの計算方法がある。

金額ベース:在庫回転率=期間売上原価/期間平均在庫金額

個数ベース:在庫回転率=期間出庫数/期間平均在庫数

ここで重要なのは、在庫回転率という数字には2種類あり、それらは必ずしも一致しないということです。金額ベースの在庫回転率はよかったとしても、個数ベースも同じとは限りません。だとすると、在庫数の管理がうまくいっていると簡単に認めるのは早計ではないでしょうか。

一般論として、ビジネスの世界には「販売数は減ったけれど売り上げは増加した」といった事例はいくらでもあります。金額ベースの数字と個数ベースの数字は、根本的に違う数字と理解するべきでしょう。

「数字は嘘をつかない」というけれど

このような視点を持つと、世の中にあるいろんな数字の表現に対して敏感になってくるはずです。

あなたのもとに、「ウチの部門は昨年に比べて生産性が2倍になりました!」という報告が届きました。さて、いったい何が2倍になったのでしょうか。

この部門の生産性という数字とあなたの認識する生産性という概念がまったく異なるものだとしたら、当然ながらこの発言を聞いて「それはすごいですね」と思ってはいけません。

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