「カラコンをつけると黒目に色が移る?」は本当か まことしやかに囁かれる「都市伝説」の真偽
東洋経済オンライン / 2024年6月13日 17時0分
それでは、その後のコンタクトの歩みを簡単にご紹介します。
視力矯正用のコンタクトが誕生したのは、ダ・ヴィンチの発見から300年以上も経った1888年頃のこと。
スイスの眼科医、オーゲン・フィックがウサギの目で型をとったコンタクトを作製。近視である自身の目に装着し、視力の矯正を試みました。
コンタクトがガラス製だったため、重くて装着感もかなり悪かったようです。
日本眼科学会が発刊した『コンタクトレンズ診療ガイドライン(第2版)』によると、オーゲン・フィックが一連の研究成果をまとめた著書のタイトル『Eine Contactbrille』の「Contactbrille(接触眼鏡)」が、現在私たちが使っている「コンタクトレンズ」という名称の語源だとされています。
日本のコンタクト市場規模はアメリカに次ぐ世界第2位
その後、快適な装着感を実現するため、コンタクトはさまざまな形で改良されてきました。
1938年にPMMA(ポリメチルメタクリレート)というアクリル樹脂素材を用いた初代ハードコンタクトが登場。
1961年には、水分を含み、弾力性にも優れたやわらかい素材を使用したソフトコンタクトの製法が確立されました。
日本国内で初めてコンタクトが処方されたのは1951年。当時名古屋大学の講師であった眼科医の水谷豊氏が、角膜が突出してくる「円錐角膜」を患う高校生にPMMA製のハードコンタクトを作製し、国内で初めて視力矯正の臨床実験に成功しました。
当時のコンタクトは酸素透過性などの問題が多くあり、安全に装着できる時間は短かったそうです。それから70年超が経ち、今や日本のコンタクト市場規模はアメリカに次ぐ世界第2位です。
機能や種類が多様化し、ユーザー1人ひとりが自分のライフスタイルに合ったコンタクトを選ぶことができる時代になっています。
ここに至るまでには、多大な時間と数多くの先人たちの努力、たゆまぬ技術の進化があったのです。
吉田 忠史:株式会社パレンテ代表取締役
河内 敏:眼科医
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