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中国政府が国策半導体ファンド「第3弾」を設立 資金規模7兆円超、財政省や国有金融機関が出資

東洋経済オンライン / 2024年6月14日 16時0分

中国政府は国策半導体ファンドを10年前に立ち上げ、国内の半導体産業の育成を後押ししてきた(写真はイメージ)

中国政府の国策ファンド「国家集成電路産業投資基金」の3号ファンドが、5月24日に設立された。その運用会社の資本金は1号ファンドと2号ファンドを上回る3440億元(約7兆4540億円)に上り、主に半導体関連の株式取得や資産運用に投じられる。

【写真】2022年に汚職容疑で拘束された大基金の元総裁の路軍氏(撮影:財新記者 魏姝敏)

国家集成電路産業投資基金は、桁外れの資金規模から「大基金」の異名を持つ。大基金3号ファンドの運用会社は北京に登記され、代表者には中国工業情報化省出身の張新氏が就任した。

最大の出資者は財政省

法人登記情報によれば、大基金3号ファンドの出資者リストには中国財政省(訳注:日本の財務省に相当)、国家開発銀行傘下の国開金融や上海国盛集団などの国有投資会社、中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行、交通銀行などの国有銀行大手を含む19組が名を連ねる。最大の出資者は財政省であり、出資比率は約17.44%だ。

代表者の張氏は1年余り前の2023年3月、工業情報化省企画局の一級監察官から、大基金の1号ファンドと2号ファンドの代表者に抜擢された。前任者の丁文武氏が2022年7月、重大な規律違反の容疑で(中国共産党の汚職調査部門である中央規律検査委員会に)身柄を拘束されてから7カ月後のことだった。

「丁文武氏と比べて、張新氏は目立つ行動を避けている。(半導体関連のフォーラムなど)公の場で講演することはほとんどない」。ある半導体業界の関係者は、財新記者の取材に対してそう述べた。

大基金の誕生は10年前に遡る。中国国務院は2014年6月、国内の半導体産業の育成強化を図る「国家集成電路産業発展推進綱要」を発表。それを受けて、大基金の1号ファンドが2014年9月に設立された。

1号ファンドの規模は1387億2000万元(約3兆60億円)、2019年10月に設立された2号ファンドの規模は2041億5000万元(約4兆4240億円)に上った。それらの資金は中国の半導体関連企業に直接投じられるだけでなく、元禾璞華、武岳峰基金、中芯聚源など複数の半導体投資ファンドのマザーファンドとしても活用されている。

汚職スキャンダルの影響残る

ところが、発足から8年後の2022年7月、大基金は深刻なスキャンダルに見舞われた。前出の丁文武氏や当時の総裁(会長職に相当)の路軍氏を含む多数の関係者が汚職容疑で拘束され、半導体業界に衝撃を与えたのだ。

今回設立された大基金3号ファンドは、具体的な投資先がまだ明らかにされていない。しかし上述の事件の影響により、投資方針はより慎重にならざるを得ないと、業界関係者の多くが予想する。

あるハイテク分野の機関投資家は、大基金3号ファンドのあるべき方向性について次のようにコメントした。

「技術的に成熟して市場競争が活発な分野よりも、(中国の)半導体産業の弱点を解決するための投資に重きを置くべきだ。長期的な将来を見据えて、忍耐強く投資することが求められる」

(財新記者:覃敏)
※原文の配信は5月27日

財新 Biz&Tech

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