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「開かずの踏切」いつ解消?南武線高架化計画の今 川崎市内の4.5kmがついに前進、立川側でも動き

東洋経済オンライン / 2024年6月14日 6時30分

ついに動き出す高架化

川崎市が進めるのは、同駅を含む武蔵小杉―矢向間約4.5kmの連続立体交差化だ。完成すると、向河原、平間、鹿島田の3駅が高架駅となり、計9カ所の踏切がなくなる。

立体交差化に向けた動きは10年以上前にさかのぼる。2007年、川崎市議会は沿線住民約5万5000人による「JR南武線未高架地域の連続立体交差化に関する請願」を全会一致で採択。2014年には市が事業化に向けた調査を開始し、2015年度に策定した「川崎市総合計画」では2018年の都市計画決定を目標として示した。その後、2018年の「総合実施計画第2期実施計画」では、2020年度の都市計画決定を目指すとした。

だが、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症流行により状況が変化。市は2021年1月、「今後の社会経済動向を踏まえた慎重な検討を行う時間を確保するため」として、2020年度の都市計画決定見送りを決めた。

総事業費は、2015年度の計画では約1479億円と試算されたが、さらに精査した2020年度の検討結果では約1601億円にふくらんだ。物価や労務費の高騰などが主な要因だ。そこで市は費用の削減策を検討。現在示している額は約1387億円で、約214億円圧縮した。

費用削減の大きなポイントは、高架化工事の工法変更だ。従来の案は、地上にある既存の線路の横にまず「仮線」を敷設し、電車の運行をこちらに一旦切り替えたうえで、もともとの線路があった部分に高架を建設する「仮線高架工法」と呼ばれる方式で検討していた。

これに対し、変更後の工法は仮線を造らず、既存の線路の横に1線(下り線)分の高架を造って下り線を高架線に移し、その後空いたスペースに上り線の高架を造る「別線高架工法」と呼ばれる方式だ。

仮線の建設がいらないため、コストダウンだけでなく工期の短縮も見込めるといい、事業期間は従来案が約21年だったのに対し約16年(どちらも用地取得6年目から着工する場合)に。複線のうち1線の高架切り替えによって「開かずの踏切」が解消されるまでの期間も11年から5年に短くなるという。

完成予定は2039年度

市は2024年度内に都市計画決定と事業認可を得て、用地取得に着手する予定だ。市道路整備課によると、都市計画案の公告・縦覧は5月中に終わっており、今後は都市計画審議会を経て都市計画決定に至る。市は2024年度予算で約33億3000万円を南武線連続立体交差化事業費として計上しており、市道路整備課によると大半は用地取得費に充てられるという。

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