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ミセスMVが示す日本人の「白人化された歴史認識」 過去にはももクロが「黒塗りメイク」で問題に

東洋経済オンライン / 2024年6月14日 14時30分

3人目は作曲家のルートヴィヒ・ベートーヴェン(藤澤涼架が扮している)。私の大好きな作曲家の1人だ。彼の交響曲第9番は史上最高の作品の1つだと私は思う。

ベートーヴェンは、歴史的に3人の中で最も議論の余地のない人物だが、ミュージックビデオの中では、類人猿の1匹にピアノを教えることで文明化を試み(ナポレオンから親指を立ててもらう)、もう1匹には人力車を引かせることで服従させる。

ナポレオンは彼らのピアノ演奏に勇気づけられたようで、類人猿に馬の乗り方を教えようとするが失敗。その後、類人猿たちは全員ナポレオンに敬礼し、明らかにナポレオンが自分たちを支配していることを認識している。

日本で繰り返される問題

そういえば数年前、J-POPアイドルグループ「ももいろクローバーZ」が、フジテレビの「ミュージックフェア」に、ドゥーワップグループ「ラッツ&スター」と並んで出演することになったのを覚えているだろうか。顔を黒塗りにした「ブラックフェイス」で。

ラッツ&スターは何年も前からそうしていた。彼らは、それが黒人とブラック・ミュージックへのオマージュだと主張している。驚くべきことだが、それが彼らの言い分なのだ。

特に問題だったのは、ももクロのメンバーたちも黒塗りにしていたことだ。彼女たちはブラックミュージックにオマージュを捧げていたわけではない。大人のバカ騒ぎに巻き込まれた無邪気な10代の若者たちだった。

日本における黒塗りについて、SNSでは大きな反発があり、何千人もの日本人が署名した嘆願書まで出された。そこでフジテレビは知恵を絞り、その土曜日の夜に放送されたミュージックフェアでは、黒塗りは編集されていた。

ラッツ&スターやももいろクローバーZの関係者が少しでもググれば、あのような愚行は避けられたはずだ。日本語における黒塗りの不幸な歴史に関する情報さえあったのだから、黒塗りをする前に調べなかった言い訳にはならない。黒塗りは物議を醸すものであり、慎重に扱われるべきものである。

番組の制作スタッフや演者たちは、日本人だから責任を問われることはないと考えたのだろうか?結局のところ、日本は太平洋に浮かぶ小さな均質な島であり、何世紀にもわたって世界から隔離されてきたのだから、日本人はあらかじめ無知であることを許されるべきなのだろうか?

「白人化された歴史」を教えられている

私がこの話を持ち出したのは、ミセスとこのMVの制作者にも同じことが当てはまると思うからだ。コスプレが正しいかどうかを確認するだけでなく、それ以上のことをきちんと調べ、意見ができる専門家が必要だった。その人物はコロンブスがコカ・コーラを宣伝するMVの題材として理想的かどうか調査すべきだった。

ほんのわずかな調査をするだけで、少なくともコロンブスが先住民にひどい仕打ちをしたことは明らかになったはずだ。そして、コロンブスの非人間的な残虐行為に苦しんだ人々が、人間以下の存在(この場合は類人猿)であることをほのめかすことさえ、無神経にもほどがある。

日本はとんでもなく「白人バージョン」の歴史を教わっているからなのか、日本人には今回のMVはかわいい、無害なものに思えるのかもしれない。日本のメディアや学校はそろそろ、ヨーロッパの歴史を美化して伝えるのをやめたらどうだろうか。光り輝くものはすべて金ではないのだ。

バイエ・マクニール:作家

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