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「職場いじめからゴミ屋敷」住人の悲しすぎるSOS ふすまに殴り書きされた無数の「たすけて」の文字

東洋経済オンライン / 2024年6月15日 13時0分

小学校の中で起きていた「教師内いじめ」

両親からの依頼内容は、「すべての部屋を空にしてほしい」というものだった。

現場に入った4人のスタッフで、まずは主に生活をしていた部屋から片付けることになった。動線を確保するためにふすまを外そうとすると、ビリビリに破れたふすまに冒頭の文字がいくつも書かれていた。

「たすけて たすけて たすけて」

見積もりの際も、片付け当日も、現場に住人である娘の姿はない。女性に何があったのだろうか。二見氏が話す。

「僕らも娘さん本人には会えていないんですが、ご両親の話だと勤務先の学校で教師内いじめに遭っていたそうです。この部屋から学校に通われていたみたいなんですけど、途中からはもう仕事に行けなくなってしまい、ついには精神を病んで病院へ入院することになってしまったんです」(二見氏、以下同)

いつ退院できるかもわからない中、家賃だけを払い続ける日々が続いていた。たとえ退院したとしても両親としてはもう娘を一人にはしておけない。そのため、退院を待たずしてこの部屋を引き払うことにしたのだ。

両親は娘の状況を把握できていなかった

ふすまに書かれた文字のことは、依頼主の両親にはあえて伝えなかった。その代わり、片付け後に両親が部屋に入ったときに、すぐにふすまに目が向くようにしておいた。

「この文字を見たら大きなショックを受けるだろうなと思って、ご両親にはふすまのことは伝えられなかったんです。ショックを受けるにしても僕らの前だとしんどいだろうなと。見るんだったらご両親2人だけで見たほうがいいと思ったんです」

かといってふすまを処分して、なかったことにするのも違う。多くのケースを見てきたイーブイなりの気遣いだった。また、依頼主である両親に対して気を遣ったのにはこんな理由もあった。

「依頼時のお話と部屋の状況を比べると、その温度感がだいぶ違ったんです。お母さんは『娘がちょっと精神的にしんどかったみたいで』とお話されていました。でも、部屋を見るとちょっとどころではなかったわけです。娘さんのつらさが仮に“10”だとしたら、ご両親はその3割も気づけていなかったはずです」

親としては娘のつらい状況を何も把握できていなかったことになる。第三者にふすまの文字を見せられてしまったら、親としての立場がなくなってしまう。

きっとこの部屋に住んでいた娘の女性は、几帳面で責任感の強い人だったのだと思う。それゆえに職場で起きたいじめのことも周りに相談できず、心が壊れるまで我慢してしまい、親には心配をかけてはいけないと一人で悩みを抱えてしまったのだろう。

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