資生堂が3年前に手放した「ツバキ」の意外な現在地 新ブランドで勝負、ツバキは海外なら2000円!
東洋経済オンライン / 2024年6月17日 8時40分
「ツバキ」「ウーノ」「フィーノ」――。かつて資生堂の看板で名を馳せたブランドを引き継いだ企業、ファイントゥデイが株式上場に向けて準備を進めている。
資生堂は2021年、ドラッグストア等で展開する低価格帯の日用品ブランドを投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズに1600億円で売却した。中・高価格帯のスキンケアを軸とする戦略に舵を切ったためだ。ファイントゥデイはこの一連の過程で設立された。資生堂は現時点で株式の20.09%を保有している。
ファイントゥデイはこの3年間、資生堂から工場など生産設備を引き継いだほか、経営企画や人事など会社に必要な組織を一から作り上げてきた。2023年度の売上高は1000億円超、営業利益は100億円超で、業績は堅調に推移している。
ファイントゥデイの主戦場は成熟市場である日用品の領域だ。資生堂の看板なしに、これからどう戦っていくのか。
様変わりした国内シャンプー市場
まず狙うのは国内シャンプー市場でのシェア拡大だ。シャンプー市場は、ここ数年で激変している。
P&Gの「パンテーン」やユニリーバの「ラックス」といった大手の低価格帯ブランドに代わり、「ボタニスト」「アンドハニー」といった新興メーカーによる1500円程度の高価格帯の商品が主役に躍り出たのだ。
新興メーカーに共通するのは、工場を持たないファブレスメーカーで、商品企画やマーケティングに優れていることだ。例えば2020年に上場したI-ne(アイエヌイー)は、睡眠中のケアに着目した「YOLU(ヨル)」でシェアを大幅に拡大。SNSを軸としたマーケティングで、若年層の需要を取り込んでいる。
対して、ツバキを含むマスをターゲットにした低価格帯の市場は縮小傾向にある。資生堂時代に「日本の女性は美しい」というコピーのテレビCMで注目を集めたツバキだが、現在、かつてのような存在感はない。
そこで、ツバキでは手薄だった高価格帯に攻め込むべく、ファイントゥデイは今年2月、独立後初の新ヘアケアブランド「+tmr(プラストゥモロー)」を本格的に立ち上げた。
髪の80%を占めるタンパク質成分のケアに注目したブランドで、香りやデザインにもこだわり、パッケージはリサイクルPETを使用するなど環境への配慮も打ち出している。
発売に当たり、下準備には特に力を入れてきた。以前のように最初からマスをターゲットにしたテレビCMを打つのではなく、新興メーカーに近い手法で若年層への認知拡大を狙ってきた。
2本柱で新興メーカーと勝負
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