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高齢者を食い物にする「外貨建て保険」に潜むワナ 販売手数料稼ぎ狙った回転売買が銀行で横行

東洋経済オンライン / 2024年6月17日 8時0分

金融庁が注意喚起

こうした銀行による外貨建て保険の「回転売買」が今、大きな問題となっている。

金融庁が保険会社8社、大手銀行など8行、地銀13行を対象に調査したところ、目標到達型(ターゲット型)を中心として、外貨建て一時払い保険の実に約6割が、4年という短期間で解約されているという実態が明らかになった。

先述したように、あくまで保険商品であるため、長期契約が前提のはず。にもかかわらず短期間で半数以上が解約になっているというのは、異常と言うほかない。

さらに言えば、顧客が本来受け取れる利益を回転売買によって損なっている側面もある。なぜなら貯蓄性(投資性)保険商品は、短期間で解約すると「解約控除」というペナルティーがあるからだ。

10年未満での解約には解約控除を設定しているケースがほとんどで、4年未満で解約すると、保険料の4〜8%程度を差し引かれてしまう。その分、受け取れる解約返戻金が減ってしまうわけだ。

「ターゲット型ではない外貨建て商品を新たに開発して、供給してくれないか」

そうした要望が地銀から生命保険会社に相次いでいる。金融庁が外貨建て保険をめぐる一連の問題点を取り上げ、注意喚起する文書を出した今年4月以降のことだ。

見直すべきは販売方法

だが、ターゲット型であっても、目標値を設定しないという選択もできるため、商品自体に大きな問題があるわけではない。見直すべきはその販売方法であり、回転売買を助長している手数料体系や株主としての関係性だろう。

それを十分に理解していながら地銀がなおも新たな商品開発を生命保険会社に要望するのはなぜか。それは、金融庁がターゲット型商品の販売に目を光らせている中、これ以上にらまれないように「抜け穴になるような商品を別につくってほしい」というのが地銀の本音だからだろう。

外貨建て保険をめぐる金融庁と保険会社、銀行の不毛な「いたちごっこ」ははたしていつになったら終わるのだろうか。

中村 正毅:東洋経済 記者

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