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吉野家が買収「ラーメンの食材会社」圧倒的な凄さ 麺からタレまで、国内外1600のラーメン店に供給

東洋経済オンライン / 2024年6月17日 12時0分

創業者の息子で現・副社長の井上光昌さんはラーメンの食べ歩きが趣味で、自作のホームページを作っていた。

このホームページで「ラーメン店の開業支援をします」という打ち出しをした。スープ・麺・タレを作って、お店の開業の手伝いをしますという内容だった。ホームページが人気だったこともあり、京都・大阪、そして関東からも声がかかるようになる。

その後、1998年関東(千葉県野田市)にも工場を作り、全国のラーメン店の商材を扱うようになる。そこでは中華料理店出身の職人たちが各店のスープの味を再現し、お店にも好評なサービスとなっていった。

「当時は脱サラしてラーメン店を始める人や異業種からラーメンに転身する人が多く、そういう人たちにとってはぴったりのサービスだったと思います。ラーメン作りのセミナーも行っていて、1週間・2週間・1カ月コースなどお店の開業支援もしてきました」(井上副社長)

その後は海外展開を行う。カナダでラーメン店を5店舗展開し、アメリカ進出の土台を作る。その後2010年にはロサンゼルスに工場を作り、アメリカのラーメン店へ商材の販売を始めた。

さらにタイ、インドネシア、フィリピン、フランスと拠点を広げ、グローバルでラーメン店を支えている。

開発担当は関西、関東にそれぞれ2人

現在は約1000社、1600店舗のラーメン店に商材を供給している。

麺は60~70種類。10種類のスープを掛け合わせることであらゆるお店のスープに対応できる。タレも40~50種類用意している。関西、関東にそれぞれ2人の開発担当がいて、日々各店の味を追求しているのだという。

しかし、まだまだ壁はある。プロのラーメン職人からすると、スープ工場で作るスープには「スキマ」があるという。スープの味がボケないように調整することは職人にしかできないと考えるお店も多い中、宝産業のスープをそのまま使うのではなく、お店で炊いたスープに追い足しで使うお店も数多い。

「お店でラーメンを食べる価値を出し続けるには、家で食べるラーメンと二極化していかないといけません。我々は今後も店舗用に限定して商材を磨き上げていくつもりです」(井上副社長)

吉野家ホールディングスとの縁は?

吉野家ホールディングスと宝産業の接点は広島の一軒のラーメン店だった。

2019年、宝産業がスープを卸していた「ばり嗎(ばりうま)」というお店を国内外に展開している株式会社ウィズリンクを吉野家ホールディングスが買収し、ここ5年で売り上げをどんどん伸ばしていった。

「ばり嗎」のラーメンを通して宝産業の商材のクオリティが認められ、吉野家ホールディングスから声がかかった。

「吉野家ホールディングスが店舗の買収だけでなく、川上にも行くことで、ラーメンにいろんな可能性を見出していることを実感します。

個人店の中には後継者問題や値上げの問題でギブアップせざるを得ないところも増えてきています。

個人店では足りない部分を我々で補いながら、お店を大きくしていく流れを作っていきたいです」(井上副社長)

ビジョンとして描いているのは「吉野家ホールディングスグループが提供するラーメンの杯数を世界一にすること」。

チェーン化を志している個人店と積極的に組んでいくことで、ラーメン業界をより元気にしていく考えだ。

井手隊長:ラーメンライター/ミュージシャン

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