1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

欧州委、中国製EVに対し「最大38.1%」の追加関税 テスラやBMWなど外資系の中国工場製も対象に

東洋経済オンライン / 2024年6月17日 18時0分

ヨーロッパは中国製EVの最大の輸出先であり、欧州委の追加関税は大きな痛手だ。写真は中国の港で船積みを待つ上汽集団製のEV(同社ウェブサイトより)

EU(欧州連合)の政策執行機関である欧州委員会は6月12日、中国製EV(電気自動車)が不当な補助金の恩恵を受け、人為的に低く抑えた価格でヨーロッパのEVメーカーに脅威を与えているとして、7月4日から最大38.1%の追加関税を課すと発表した。

【写真】2023年12月に北京で習近平・国家主席と会談したEUのミシェル大統領と欧州委のフォンデアライエン委員長(欧州委のウェブサイトより)

この決定に先立ち、欧州委は3社の中国メーカーを対象にしたサンプル調査を実施。補助金の度合いに応じた追加関税をメーカーごとに算定し、3社の税率を国有自動車最大手の上海汽車集団(上汽集団)は38.1%、民営自動車大手の吉利控股集団(ジーリー)は20%、EV最大手の比亜迪(BYD)は17.4%とした。

このサンプル調査は、欧州委が2023年10月から進めている中国製EVに対する反補助金調査の一環だ。上述の3社以外の追加関税について、欧州委は反補助金調査に協力しているメーカーには21%、協力していないメーカーには38.1%を課すとしている。

上汽集団は調査に非協力か

EUは域外からの輸入乗用車に10%の関税をかけており、追加関税はそれに上乗せされる。その結果、上汽集団および反補助金調査に協力していないメーカーは48.1%もの高関税率を強いられることになった。

サンプル調査の3社の中で、上汽集団はなぜ最高の38.1%を課されたのだろうか。ある業界関係者は匿名を条件に、次のようにコメントした。

「欧州委は上汽集団が調査に非協力的だと判断したのだろう。そもそも、欧州委が中国メーカーに提出を求めている情報の多くは企業秘密に属するものだ」

中国のEVメーカーにとって、ヨーロッパは現時点で最大の輸出先である。中国海関総署(税関)のデータによれば、2023年に中国からEUに輸出されたEVは48万2000台(中古車を含む)に上り、EVの総輸出台数の45.1%を占めた。

今回の追加関税が、EU域内における中国製EVの販売に大きな打撃を与えるのは確実だ。ただし、その被害者は中国メーカーだけとは限らない。

と言うのも、追加関税の対象には中国メーカー製のEVだけでなく、外資系メーカーが中国工場で生産したEVも含まれているからだ。欧州委が公表した反補助金調査に協力しているメーカーのリストには、テスラ、BMW、ルノー、ステランティスなどの中国法人や合弁会社の社名が並ぶ。

欧州メーカーから批判の声も

実は、中国製EVをヨーロッパに最も多く輸出しているメーカーはテスラだ。EUに本社を置くBMWやルノーも、中国工場から相当な数のEVをヨーロッパに輸出している。

「これは誤ったやり方だ。保護貿易主義は報復関税の応酬という連鎖反応を引き起こす」。BMWのオリバー・ツィプセ社長は欧州委の追加関税を強く批判し、こう切り捨てた。

「BMWのグローバル競争力を高めるうえで、このような保護主義的措置はまったく役に立たない」

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月12日

財新 Biz&Tech

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください