旭化成が「腎疾患薬1700億円買収」で見出す勝機 医薬品事業は大手不在のニッチ領域に絞り込む
東洋経済オンライン / 2024年6月19日 8時50分
もっとも、思惑どおりにいくかはわからない。旭化成は2015年に2600億円で買収したアメリカのセパレーターメーカー・ポリポア社について、2022年度に約1850億円の減損を計上している。旭化成における過去最大の買収案件がポリポア社だった。
ポリポア社は「乾式」、今回の投資は「湿式」とセパレーターのタイプが異なる。従来、セパレーター事業として乾式と湿式を一体で運営していたが、湿式の拡大を受けて、それぞれ独立事業と位置付けたことでポリポアを減損することとなった。「湿式が有望だから減損を強いられた」といえなくもないが、ポリポアが買収時の計画を下回っていたのは事実だ。
カナダ工場については、北米でのEV普及が進むか、中国製品の流入が少ない状況が続くか、など先行きの不安がある。積極投資が想定どおり収益に貢献するか見通せない。
総合化学メーカーに対する株式市場の評価は低い。6月18日時点で大手5社の株価純資産倍率(PBR)を見ると、レゾナック・ホールディングスのほかは1倍割れ。旭化成も0.76倍しかない。
背景にあるのは石化事業の収益低迷だ。今後のカーボンニュートラル対応への懸念もある。生産能力過剰と言われて久しいエチレンのプラント再編を見てもわかるように、石化事業のリストラは数年単位の時間を要する。
それはそれで取り込むとともに成長事業を育成していく必要がある。各社ともヘルスケアや半導体、電池など成長領域の育成に注力しているが、果敢なリスクテイクでは頭一つ抜けている旭化成。これらの投資が実を結べば、低PBR群から脱却できるはずだ。
山田 雄大:東洋経済 コラムニスト
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
<独自>住友ファーマ、iPS細胞製造の新工場を国内建設へ 最大1万人分 木村新社長「新しい輸出産業に」
産経ニュース / 2024年6月26日 6時0分
-
「来年度の黒字必達」=業績不振で研究費圧縮―住友ファーマ新社長
時事通信 / 2024年6月26日 0時6分
-
相次ぐ治験失敗…大塚ホールディングス「特許の壁」克服戦略の前途多難(重道武司)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月20日 9時26分
-
旭化成が腎疾患の製薬会社買収 「ニッチ」な専門領域で攻める
財界オンライン / 2024年6月18日 15時0分
-
【5月M&A統計】108件(29件増)、1月からの累計で早くも500件超え
PR TIMES / 2024年6月7日 18時15分
ランキング
-
1関東「気動車王国」の離れ小島路線が面白い! 不思議な“右ハンドル”車両 3駅の路線に“スゴイ密度”であるものとは?
乗りものニュース / 2024年6月29日 15時12分
-
2「押しボタン式信号」なぜ“押してすぐ青”にならないケースが? 納得の理由があった!
乗りものニュース / 2024年6月29日 16時42分
-
3ソニー宮城拠点、250人削減=ブルーレイ、生産縮小
時事通信 / 2024年6月29日 15時49分
-
4あおり運転被害72.5%に増加…チューリッヒ保険調査
レスポンス / 2024年6月29日 16時0分
-
5作文は「理系だと苦手」「文系が得意」という大誤解 算数が得意な子は大概「作文もうまい」納得理由
東洋経済オンライン / 2024年6月29日 10時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください