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あの「ポルシェ」が中国市場で人気凋落の大誤算 1〜3月は2割超の販売減、反旗翻すディーラーも

東洋経済オンライン / 2024年6月21日 19時30分

ポルシェはドル箱だった中国市場でブランドの神通力が低下している。写真は同社のスポーツEV「タイカン」(ポルシェ中国法人のウェブサイトより)

ドイツの高級スポーツカーブランドのポルシェが、同社にとって世界最大の市場である中国で人気の凋落に直面している。

【写真】中国BYDが立ち上げた超高級車専用ブランド「仰望」のスポーツEV「U9」

「顧客のEV(電気自動車)シフトなど、市場の変化に適応するための対策をディーラーと協力して検討する」――。

ポルシェの中国法人は5月27日、そんな内容の声明を発表した。実はこの声明の裏には、ポルシェ車を販売するディーラーの一部が起こした中国法人に対する“抗議”があった。

本社役員を中国に派遣

事情に詳しい関係者によれば、これらのディーラーはポルシェ中国法人が提示した2024年の販売目標に同意せず、車両の仕入れを拒否する行動に出た。さらに、ドイツのポルシェ本社に対して書簡を送り、(ディーラー負担の値引きによる)これまでの損失の補填を求めたという。

そのほかのディーラーでも、ポルシェ車の売れ行き不振で販売現場の営業意欲が低下している。この状況に危機感を抱いたポルシェ本社は、グローバル販売担当の役員を中国に派遣して関係者と協議したが、対応の具体策は明らかになっていない。

この関係者によれば、ポルシェ中国法人は2024年の販売目標を7万台に設定していた。だが、中国の自動車市場ではメーカー希望価格が100万元(約2165万円)を超える超高級車の販売が全体的に低迷している。目標達成は極めて困難と言わざるを得ない。

「ポルシェの(年次改良による)ニューモデルには十分な競争力がない。にもかかわらず(ポルシェ中国法人が)ディーラーの数を増やし続けたため、販売現場に(仕入れた車両を売り切るための)利益度外視の値引きが蔓延した」。前出の関係者は、ディーラーの苦しい実態をそう話す。

中国市場はポルシェにとって最大のドル箱であり、同社のグローバル販売台数に占める比率が2021年は32%、2022年は30%に達していた。

だが、2023年からポルシェ車の人気の陰りがはっきりしてきた。同年の中国市場での販売台数は7万9283台と前年比15%減少。グローバル販売台数に占める比率も25%に低下した。

そして2024年に入ると、人気凋落に拍車がかかった。同年1~3月期の中国市場での販売台数は1万6340台と、前年同期比23.5%減少。なかでもEVの不人気が際立ち、1~3月期の総販売台数に占めるEVの比率は5.6%と前年同期(11.4%)の半分に縮小した。

BYDなど新たなライバル台頭

中国市場でのポルシェ車のメーカー希望価格は、最も安い車種でも50万元(約1082万円)を下らない。同社はスポーツカーの世界的なプレミアムブランドとして、超高価格帯のカテゴリーで圧倒的強さを誇っていた。

その神通力がここに来て弱まったのは、ポルシェのEVに中国の富裕層を惹きつける魅力が足りないことに加えて、新たなライバルの台頭がある。

中国のEV最大手の比亜迪(BYD)は2023年11月、超高級車専用のサブブランド「仰望(ヤンワン)」を立ち上げた。第1号モデルの大型SUV「U8」のメーカー希望価格は110万元(約2381万円)からだが、BYDによれば、発売後の累計販売台数はすでに6000台を超えたという。

BYDはさらに、仰望の第2号モデルのスポーツカー「U9」を2024年2月に発表。ポルシェの牙城に真っ向勝負を挑んでいる。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は5月28日

財新 Biz&Tech

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